研究課題
本研究は、モデル駆動工学におけるモデル変換などで、変換を越えて更新を双方向に伝搬させる重要な役割が期待されるグラフの双方向変換に対する、正規木上の構造再帰に基づくアプローチを発展させるものである。これまで考慮されなかった各ノードの枝間の順序については、順序なしグラフ上のhead/tailのようなエンコーディングでは、双模倣保存性と、標準的なε除去法が両立しないため不十分であることが分かった。データモデルへの順序の直接導入の影響も明確にした。そのひとつは、循環をつくるε枝に非ε枝が出ている場合、そのεの除去に伴い、非ε枝が無限に複製され無限幅の枝を生じることであるが、それは順序自体でなく、集合意味論が持つ結び(union)演算の冪等性を失うためである。冪等性の下では複製が縮退していたため問題が表面化しなかった。このためもあり新しい双模倣の定義が必要になり、これも国際会議ICFP'13で報告している。順変換の実装では、平成25年度は型注釈構文の強化を行うことでプログラミングを容易にした。グラフ編集ツールも、既存ツールを枝の順序を任意に入れ替えられるよう拡張することで実現した。双方向変換は国際会議に投稿したが、ラウンドトリップ性の保証に一部事後チェックを必要とすること等が問題で採択に至らず、引き続き改良中である。順序あり、なしのグラフの統一的取扱いについても共著者を中心にPPDP'13で報告している。実装面でも、既存のグラフのモデルで良く見られる「木+先祖向きポインタ」形式への変換を統一した。応用範囲拡大についても、インターン生等と協力し、システム生物学やソフトウェア検証結果のフィードバックの他、平成25年度では実行可能モデルの翻訳的意味の付与に双方向変換を用い、翻訳先モデルの実行を翻訳元のモデル上の実行へ反映する予備的検討を技報化した。
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