研究課題
モバイル無線端末では時々刻々変化する通信環境に追従する必要があり、MIMO検出処理の高速化は必要不可欠であるが、端末を移動しない時間帯では通信環境がさほど変動しないのでMIMO検出処理の回数を減らしたり、処理時間の遅延制約を緩和することで通信性能を犠牲にせずに低消費電力化が可能である。提案する適応型MIMO検出器では回路動作速度や動作電圧を動的に変化させる機構と適応アルゴリズムが動作するコントローラ回路を導入して電力制御を行う。適切な電圧や回路動作速度パラメータを与えるアルゴリズム開発やLSI化を行った。 マルチパスフェージング環境下において伝搬路の時間変動が大きい場合はパケット毎に伝搬路推定と逆行列計算を行い、時間変動が小さい場合は前のパケットで計算した逆行列を再利用する動的MIMO検出手法を提案した。MIMO検出処理の回路動作速度を動的制御することで消費電力を低減することが可能である。最適な回路動作速度を決定するため速度推定部ではドップラー周波数推定やパケット送受成否による速度決定手法を開発した。MIMO検出回路では回路速度推定部とクロック周波数制御部、動作電圧制御部の新規モジュールを従来回路に挿入する。設計した回路はクロック周波数1~160MHz,動作電圧0.33V~1Vの範囲で動作する。最も回路動作速度を遅くできる場合でMIMO検出回路の消費電力を1/45にまで低減することができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、MIMO検出器LSI低消費電力化のための適応アルゴリズム開発及び回路設計、消費電力特性解析を行うことができた。
MIMO検出器適応アルゴリズムを動作させる回路モジュールが未設計であるが、研究計画では平成24年度で設計する予定であり、計画通り回路を完成させることを目指す。
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