研究課題
無線通信システムにおけるモバイル無線端末では時々刻々変化する通信環境に追従する必要があり、MIMO検出処理の高速化は必要不可欠である。だたし、端末を移動しない時間帯では通信環境がさほど変動しないのでMIMO検出処理の回数を減らし、処理時間の遅延制約を緩和することで通信性能を犠牲にせずに低消費電力化することが可能である。当該年度は前年度に開発した適応型MIMO検出器アルゴリズムを動作するための専用命令を有するプロセッサ(ASIP)のLSI設計を実施した。プロセッサ設計ではSVD-MIMO方式受信機におけるMIMO検出処理に特化した演算器構成及び専用命令を実装した。複素数のベクトル演算やCORDIC法による角度計算に対する演算サイクル数の削減、パイプライン処理によるスループット性能の向上、ドップラー周波数の推定結果に基づくプロセッサ動作周波数の自動制御の手法をプロセッサに導入した。また、演算処理効率化のため、浮動小数点平方根演算器と除算器を実装している。従来の専用演算器ではMIMO検出処理のみの実行であり、MIMOチャネル行列サイズも限られていたが、提案のプロセッサはチャネル行列のデータ圧縮やドップラー周波数推定などのMIMO受信機に必要な多くの処理を実行可能である。適応型MIMO検出器アルゴリズムをプロセッサ上で実行することにより固定型と比較して消費エネルギーを約1/3に削減することができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、MIMO検出器LSI低消費電力化のためプロセッサ設計、消費電力評価を行うことができた。
時間領域MIMO検出処理回数低減アルゴリズム開発は完了したが周波数領域MIMO検出処理回数低減アルゴリズムの開発はまだ検討段階であるので来年度中に開発及び評価を終わらせる。
該当なし
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