研究課題/領域番号 |
23700067
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷口 一徹 立命館大学, 理工学部, 助教 (40551453)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | HW/SW協調設計 / VLIW型プロセッサ / 低消費電力化 |
研究概要 |
本研究では、組込み向けプロセッサの1種であるVLIW型プロセッサを対象とし、近年問題視されているリーク電力をHW/SW協調設計により大幅に削減する。VLIW型プロセッサは、単一命令で複数の演算器を同時に実行するSIMD型アーキテクチャであり、高性能・低消費電力が実現できる。また、リーク電力を削減するためには不要な演算器の電源を動的に切るパワーゲーティングと呼ばれる回路技術が有効である。そこで本研究では、パワーゲーティングを効率的に適用する消費電力最小命令スケジューリング手法、ならびに同程度の性能でよりリーク電力を削減するための演算器構成最適化手法を確立させることを目標とする。平成23年度は、単純なVLIW型プロセッサモデルに対して、消費電力最小命令スケジューリング手法の開発、並びに演算器構成最適化手法の開発を行った。消費電力最小命令スケジューリング手法に関しては、問題を数理計画問題として定式化することで、最適解が得られる手法を開発した。しかし、消費電力最小命令スケジューリング問題を実用的な時間で解くことは不可能であることが知られており、大規模な問題の求解は非常に困難であることが確認された。また、平成24年度から行う予定であった演算器構成最適化に関しては、共同研究者から提供されたツールを評価する機会に恵まれ、その基礎研究を開始することが出来た。具体的に、VLIW型プロセッサの評価ツールを用い、演算器数やメモリサイズを最適化する分枝限定法に基づく手法を開発した。この成果を元に、低消費電力化に向けた演算器構成最適化に発展される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の目標は、単純なVLIW型プロセッサモデルに対する命令スケジューリングの確立であったが、当初の目標通り研究が進んでおり予定していた成果を得ることができた。よって研究はおおむね順調に進展していると言える。また、平成24年度から行う予定であった演算器構成最適化に関しても、その基礎研究を並行して行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に得られた成果を有機的に発展される予定である。まず、命令スケジューリング手法に関しては、大規模な問題に対しても実用的な時間で解を得ることが出来る発見的手法に基づく命令スケジューリング手法を確立させる予定である。具体的に、Simulated Annealing法に基づく命令スケジューリング手法を開発する予定である。また、演算器構成最適化に関しては、開発された命令スケジューリング手法をアーキテクチャの評価に使用することで、単純なモデルに対して最適な演算器構成を得るアルゴリズムを開発する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、書籍などの購入の他、成果発表に研究費を使用する予定である。特に、発見的手法に基づく命令スケジューリング手法に関しては国際会議に投稿し、直ちに学術論文誌としてまとめる予定であり、そのための出張旅費や印刷費として執行予定である。また、演算器構成最適化に関しても、国内学会への投稿と国際学会への投稿を予定しており、そのための出張旅費として執行予定である。
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