研究課題/領域番号 |
23700067
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷口 一徹 立命館大学, 理工学部, 助教 (40551453)
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キーワード | HW/SW協調設計 / VLIW型プロセッサ / 低消費電力化 |
研究概要 |
本研究では、組込み向けプロセッサの1種であるVLIW型プロセッサを対象とし、近年問題視されているリーク電力をHW/SW協調設計により大幅に削減する。VLIW型プロセッサは、単一命令で複数の演算器を同時に実行するSIMD型アーキテクチャであり、高性能・低消費電力が実現できる。また、リーク電力を削減するためには不要な演算器の電源を動的に切るパワーゲーティングと呼ばれる回路技術が有効である。そこで本研究では、パワーゲーティングを効率的に適用する消費電力最小命令スケジューリング手法、ならびに同程度の性能でよりリーク電力を削減するための演算器構成最適化手法を確立させることを目標とする。 平成24年度は、平成23年度に開発した消費電力最小命令スケジューリング手法をより実用的な規模のアプリケーションにも適用できるよう発見的手法に基づく手法を開発した。具体的に、大規模な問題に対しても実用的な時間で解を得ることが出来るSA法に基づく命令スケジューリング手法を開発した。提案したSA法に基づく命令スケジューリング手法に関しては、最適解とほぼ同じ解を数十秒程度で得られることが確認できた。 また、演算器構成最適化に関しては、解空間が膨大である命令割り当て問題に焦点を当て、GA法に基づく手法を開発した。その際、従来からの課題であったパワーゲーティングを用いない演算器構成最適化について実用的な手法をまずは開発した。提案手法では、1つの演算器構成を遺伝子としてGA法を適用した。提案したGA法に基づく演算器構成最適化に関しては、網羅的な探索手法と比較してほぼ同じ結果が10倍程度高速に得ることができた。 さらに、平成24年度は電力推定手法に関してさまざまな視点から研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の目標は、発見的手法に基づく命令スケジューリング手法の確立と演算器構成最適化手法の確立であったが、当初の計画以上に進展していると言える。まず、発見的手法に基づく命令スケジューリング手法の確立に関しては、SA法に基づく手法を開発し、研究発表を行った。また、演算器構成最適化手法については、GA法に基づく手法を開発し、学術論文誌に投稿予定である。このように、当初の目的については達成できている。それと同時に、パワーゲーティングを考慮した命令スケジューリングを行わずに電力を推定する手法も開発し、研究会で報告した。このように当初の計画以上に進展し、着実に成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に得られた成果をさらに発展させる予定である。まず、演算器構成最適化に関して、パワーゲーティングを考慮した手法に拡張させる予定である。パワーゲーティングを考慮しない命令スケジューリング手法とパワーゲーティングを考慮する命令スケジューリング手法ではその目的関数や制約が異なる。そのため、アルゴリズムの改良が必要である。 また、平成24年度にパワーゲーティングを考慮した命令スケジューリングを行わずに電力を推定する手法を開発した。この手法は非常に斬新で新しい試みであるため、平成25年度も引き続きその高精度化について研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、年度末に成果発表を行う予定であったが、実験結果の検証に時間がかかったため成果発表を見送った。そのため、平成25年度は、書籍などの購入の他、主に成果発表に研究費を使用する予定である。特に、平成25年度は最終年度のため、これまでの成果を国際学会や学術論文誌に投稿する予定であり、そのための出張旅費や英語添削費、印刷費として執行予定である。
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