研究課題/領域番号 |
23700069
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 秀幸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40509072)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | サービス構築基盤技術 / グリーン指向ウェルネスアプリケーション / ユビキタスコンピューティング / マルチエージェント / 情報システム |
研究概要 |
本年度(初年度)は,ウェルネスアプリケーションを実現するための理論的な枠組みとデータ統合制御技術の開発を推進するため,(1)関連研究の調査と分析,(2)ウェルネスフレームワークの設計,(3)データ収集・集約とデータ統合処理を行うデータ統合制御技術の開発,(4)知的サービス連携技術の開発と動作テストを行った.さらに最終年度の評価を行うために必要な評価用プロトタイプシステムの実験環境構築等の準備を行った.具体的な研究実績の概要は以下の通りである.(1)既存関連技術の調査・分析として,ウェルネスアプリケーション関連技術,生体情報獲得センサ技術,高齢者支援に適用可能な電力情報獲得センサ技術に関する調査・分析と技術的課題および設計・開発方法の整理を行った.(2)ウェルネスフレームワークの開発として,(1)の調査・分析結果に基づくウェルネスフレームワークの機能要件の整理を行い,ウェルネスフレームワークのためのソフトウェアプラットフォームの設計・開発とウェルネスフレームワークのアーキテクチャの設計を行った.(3)データ収集・集約,データ統合処理を行うデータ統合制御技術の開発として,(2)で設計したフレームワークに基づき,ウェルネスアプリケーションが利用する生体情報,電力情報,マルチメディア情報,健康アドバイス情報の各種データベースの開発を行った.さらに効率的なデータ収集方法およびデータの統計処理方法の設計と各種データベース連携方式の検討とデータを統合制御する機構の初期設計を行った.(4) 知的サービス連携技術の開発として,上記の(2),(3)で開発したフレームワークとデータ統合制御機構の結合,機器,センサ,ソフトウェア,データベースの連携方式の検討とウェルネスアプリケーションを想定した各種モジュールの試作および予備動作実験を行い,最終年度の評価に向けた準備を順調に進めることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,生体情報,環境情報,電力情報などの多様で膨大なセンサデータの知的利活用支援を焦点とし,高齢者の健康状態の変化や利用可能な情報通信環境の変化に加えて,支援者の利用状況や環境の変化も考慮した,双方の利用者にとってやさしい「ウェルネスアプリケーション」を実現するための理論的な枠組みとデータ統合制御技術の開発が目的である. 初年度(平成23年度)の研究実施計画は,既存関連研究の調査・分析,ウェルネスフレームワークの開発,データ収集・集約,データ統合処理を行うデータ統合制御技術の開発,知的サービス連携技術の開発であった.研究実施計画に沿って,計画通り研究開発が進んでいる点,フレームワークやデータ収集・集約,データ統合処理に関する成果の一部を外部で発表しRESEARCH AWARDを受賞した点,本学の一般公開を通して成果を紹介したことに加えて,最終年度の評価に向けて実験環境を構築している点から現在までの達成度を評価し,おおむね順調に進展していると評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度(平成24年度)においては,平成23年度の成果に基づき,ウェルネスアプリケーションを提供するユーザインタフェースの開発と評価用プロトタイプシステムの設計・実装を行う.評価用プロトタイプシステムの実装後,プロトタイプシステムを用いた評価実験を行い,高度なウェルネスアプリケーションを実現するデータ統合制御技術の有効性の検証と総合評価を行う. 具体的には,次の3つの(1) ウェルネスアプリケーション向けユーザインタフェースの開発,(2) ウェルネスアプリケーションのプロトタイプシステムの設計と実装および評価実験,(3) 総合評価を推進する.(1)ウェルネスアプリケーション向けユーザインタフェースの開発では,利用者に対して視覚的に情報を提供するユーザインタフェース技術の検討とデータ収集・集約,データ統合処理を行うデータ統合制御技術で開発した各種データベースの情報から統合された情報を可視化する方式の検討を行う.さらに,知的サービス連携と連動したユーザインタフェースの動的調整方式の設計および実装を行う.(2)ウェルネスアプリケーションのプロトタイプシステムの設計と実装および評価実験では,ウェルネスアプリケーションのプロトタイプシステムの設計と実装,プロトタイプシステムを用いた評価実験,遠隔の実験施設や公共施設をネットワークで接続した実証実験を行う.(3)総合評価では,プロトタイプシステムを用いた評価実験の結果の分析と本研究課題で開発した各要素技術の総合評価を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成24年度)の研究費は,平成24年度請求額のみである. 次年度の研究費の使用計画としては,ウェルネスアプリケーションを提供する評価用プロトタイプシステムの設計・実装,プロトタイプシステムを用いた評価実験,高度なウェルネスアプリケーションを実現するデータ統合制御技術の有効性の検証と総合評価を行うために必要な実験データ管理用ストレージと,プロタイプシステムや評価実験に関する研究成果を発表するための旅費および会議費として使用する予定である.
|