研究課題/領域番号 |
23700071
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
大坐畠 智 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 准教授 (30361744)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 無線ネットワーク / 高速ダウンロード / オーバヒアリング / クロスレイヤ制御 / マルチホップネットワーク |
研究概要 |
携帯端末が、無線LANや無線アドホックネットワークを介して、同一コンテンツを複数端末がある時間範囲内にダウンロードをする場合の冗長通信削減方式を明らかにする。他端末宛てであるが、自端末もダウンロードしているコンテンツの一部分をブロードキャストメディアである無線リンクのオーバヒアリング(overhearing)により、自らはその部分をダウンロード要求をせずに有効活用し、冗長な通信を削除する。オーバヒアリングを実現するため、シーケンス番号によるTCPの信頼性制御の制限を開放する必要があるが、P2Pファイル共有ソフトで用いられた、ハッシュマップによる信頼性の制御を用いる。マルチホップ環境に拡張し、コンテンツの各ノードへのキャッシュによるさらなる冗長な通信の削減方式を明らかにすることを目的として研究を実施した。 平成23年度では、1ホップ無線通信環境で、オーバヒヤリングを実現するための機能、各層で必要な制御の検討を各層の制御に整合性を持たせるクロスレイヤ設計で行った。アプリケーション層の制御として、Bittorrentベースに方式を検討し、冗長トラヒックが発生しないセッション制御を検討した。そして、ビットマップを用いて信頼性を提供するため、サーバ側でのピース配信・クライアント側でのダウンロードピース選択戦略、シーケンス番号に頼らない輻輳制御方式を明らかにした。 提案方式をテストベッドに実装し、サーバ1台、クライアント6台の環境で、基本的な性能評価実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(平成23年度)に、1ホップの無線環境での機能設計、テストベッドへの実装、基本的な性能評価ができている。無線環境のテストベッドを構築する際には、何がおこっているかを把握するための測定の仕組みが必要だが、各レイヤにおいて動作が確認できるようにシステムを構築してある。平成24年度に、実環境を想定し、通信速度や無線でのエラーレートが異なるようなヘテロジニアスな環境での方式の改良、性能評価をすることにより、方式の有用性が示すことができる見通しが立っている。 さらに、平成24年度から、方式をマルチホップに改良するが、基本的な方式の検討、評価環境(エミュレーション環境)の準備も整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に、1ホップの無線環境では、実環境を想定し、通信速度や無線でのエラーレートが異なるようなヘテロジニアスな環境での方式の改良、性能評価をおこなう。必要に応じて、実環境、エミュレーション環境を組み合わせる。 マルチホップ環境への拡張をするために、オーバレイ、アンダレイのルーティングプロトコル間の整合性をとる必要があるので、方式の検討を行い、実装、基本的な性能評価を行う。必要に応じて、実環境、エミュレーション環境を組み合わせる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1ホップ環境、マルチホップ環境でのスケーラビリティを評価するためにノートパソコンを購入する。実験補助のために謝金を計上した。国内外での研究成果の発表のために旅費を計上している。
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