エネルギー利用効率の向上を目指す例として、現在は工場やビルのような大口の需要家に対してのみ行われていたデマンドレスポンスを、スマートメータ(情報通信・制御機能を備えた電力メータ)を家庭などの小口の需要家に設置することで実施できるようにすることが、次世代送電網(スマートグリッド)の構想に含められている。このようなスマートグリッドの標準化に向けた枠組みがアメリカ国立標準技術研究所(NIST)により示されている。その中で、セキュリティとプライバシーの確保は重要な課題として挙げられている。 スマートグリッドでは、需要家(電気の最終利用者)のプライバシーに関わる情報である家庭内での活動の詳細なタイムライン(電力消費履歴)が収集され、電力産業以外の様々な組織に使用される。需要家が安心してプライバシー情報を提供するために、需要家主導で開示先の制御ができ、セキュアに情報を流通させる技術の開発は、スマートグリッドを社会的基盤システムにしていく上で必要不可欠である。本研究では、情報保管者に対して情報を秘匿できる情報提供方式の開発を行う。 本研究では、情報提供方式を実現するための要素技術の確立とプロトタイプ実装を目標としている。 平成24年度は、需要家開示先として指定したサービス提供者からなるメンバのグループに対して、離脱したメンバの復号鍵の無効化をするタイムラインの提供手順に必要な秘密分散技術に対して,オフラインなメンバが存在しても、部分秘密鍵の更新がセキュアに完了するための機能について検討を行った。
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