研究課題/領域番号 |
23700075
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
内藤 克浩 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80378314)
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キーワード | OFDM / 協調通信 / マルチホップ通信 / アドホック通信 / 路車間通信 / 車車間通信 / ITS / TCP |
研究概要 |
本研究ではOFDM協調通信方式の研究を推進しており、本年度は特に以下の観点から研究を実施した。 ・自律分散アクセス制御によるフラッディング機構の研究 ネットワーク全体に情報を行き渡らせるフラッディングは経路制御プロトコルなどで頻繁に利用されているメカニズムであり、マルチホップ通信技術の基盤的な原理である。しかしながら、既存メカニズムでは、多数の端末が順次パケット転送処理を繰り返す事から、トラヒックの増加に伴い無線資源が浪費される問題がある。提案OFDM協調通信方式では、同一のODFMシンボルは同時に転送することができるため、従来では端末数だけ必要とされる転送時間を大幅に削減することが可能となる。結果として、トラヒック増加時にも高い配信率を低遅延で実現可能となる。さらに、本方式では各端末がパケットを識別する情報を用いて自律的にランダム遅延を選択することにより、端末間の通信を必要とせずに、同一パケットは同一タイミングで重畳送信することが可能となる。本研究成果は既に研究会で発表しており表彰されている。また、国際会議発表も既に終えており、論文誌への投稿を準備中である。 ・路車間通信用の協調通信方式の研究 路車間通信で想定される環境は車両が高速移動することからチャネル状況が大きく変動する上、基地局と車両間の距離も時々刻々と変化するため、特に基地局と基地局の中間地点で通信特性が大幅に劣化することが知られている。本研究では、路車間通信のOFDM協調通信を適用した場合の特性改善効果を明らかにした。具体的には、基地局と車両の地位関係により大きく異なる通信特性をシミュレーションにより明らかにした上で、移動車両からのインターネット接続を想定した環境において、通信スループットを大幅に改善可能である事を明らかにした。本研究成果は研究会及び国際会議で発表を終えており、論文誌への投稿を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、OFDM協調通信を採用した場合の通信特性の研究、OFDM協調通信を採用した場合のブロードキャスト方式の研究、OFDM協調通信を採用した場合のマルチキャスト方式の研究、OFDM協調通信を採用した場合のユニキャスト方式の研究に大別して研究を進めている。 既に通信特性の研究とブロードキャスト方式の研究は終えており、マルチキャスト方式の研究は現在推進中である。 また、ユニキャスト方式の研究は線形上にノードが配置される路車間通信及び車車間通信についての検討を終えており、現在2次元にノードが配置される場合についての検討を開始したところである。 そのため、概ね予定通りに研究は進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、主にOFDM協調通信を用いたマルチキャスト方式とユニキャスト方式について研究を進めて行く。 特に、マルチキャスト方式では既存経路制御プロトコルとOFDM協調通信を組み合わせた場合の特性改善効果を明らかにすることで、既存の標準化プロトコル利用時のメリットを明らかにする。さらに、既存経路制御プロトコルを拡張した場合の特性改善が可能なのかについて研究を進める。 ユニキャスト方式については、OFDM協調通信を実現するためには、複数の経路上の端末が協調してパケット転送を行う必要があることから、既存の標準化プロトコルを拡張することで、経路周辺にノードが協調通信に参加可能な方式の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は主に以下の用途で利用する予定である。 ・海外出張旅費(7日間) 250千円×2回 ・国内出張旅費(2泊3日) 50千円×4回 ・シミュレーション用計算機 200千円×1台 ・論文誌別代 100千円×1部
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