本研究では、環境変動への耐性と低消費電力を両立した大規模ネットワークを構築するアプローチとして、仮想ネットワークを構築し、仮想ネットワークに含まれないデバイスの電源をオフにすることを考えている。本研究では、この目標を達成するための検討として、(1)仮想ネットワーク制御手法の検討、(2)物理的なネットワークの構成について検討を行った。 仮想ネットワーク制御手法では、環境変動への耐性を持つ仮想ネットワークをあらかじめ構築するプロアクティブ型仮想ネットワーク制御を行うことにより、大規模な再構成を行うことなく予測困難な環境変動に対しても対応可能な手法の検討を行った。この検討では、環境変動に対応して進化する生物は機能的モジュール性が高いということに着想を得て、フローを収容するというネットワーク内の機能同士の関係性とモジュール性を定義した。 そして、そのモジュール性が高くなるように仮想ネットワークを制御することにより、将来のトラヒック変動に備えつつ、低消費電力な仮想ネットワークを構築した。 また、物理的なネットワークの構成における検討では、近年研究が進められている、メニーコアチップ内のネットワークに注目をした検討を行った。本検討では、3次元に積層したネットワーク構造を考え、その各地点に配置するスイッチの適切な種類(パケット交換スイッチか回線交換スイッチ)についてシミュレーション評価により検討を行った。評価の結果、低消費電力な仮想ネットワークの構築を可能とするのは(1)パケット交換スイッチの階層と回線交換スイッチの階層を分け、(2)パケット交換スイッチからは、全階層の回線交換スイッチに直接リンクを持つ構造であることが分かった。
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