本研究では、特性の異なる多種多様な端末を柔軟に収容する遅延耐性ネットワーク実現を目的とし、生物の環境変化に対する適応性を応用したノードの特性に依存しない遅延耐性ネットワークにおける経路制御の実現を目指す。脳や細胞の成長過程で形成される化学物質による濃度勾配に着想を得た方式により、ノードの移動特性を考慮した経路制御を提案した。本方式は、自己組織的に形成した勾配にもとづいてメッセージを転送する。シミュレーション評価を通して、移動特性の異なるノードが混在する環境におけるメッセージ転送遅延を最大で 50%削減することを明らかにした。さらに、提案手法である移動特性補正用勾配は、複数の既存方式に応用することが可能であり、既存のいくつかの経路制御手法の性能を改善できることを示した。
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