研究課題/領域番号 |
23700084
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
猪俣 敦夫 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (90505869)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ITS / VANET / IPv6 / モバイルセキュリティ / サービスディスカバリ |
研究概要 |
平成23年度においては、ITSアプリケーションの安全性に関する要求要件の洗い出しとして、適切な通信デバイス(例えば802.11a/b/g/p, 2G or 3G等)選択において必要な機能の選択を実施した。本研究で特徴的なのは、実世界に存在する車を対象としているため、それぞれ車の位置情報をはじめとするプライバシーを考慮したノード探索手法(安全なサービスディスカバリ機構と呼ぶ)である。このサービスディスカバリ機能は、ISO/OSIモデルにおけるアプリケーション層に配置され、その下層の機能には関与しないため、サービスの探索対象は事前に割り当てられた特定のIPアドレスに固定され、サービスの発見の際にはアプリケーションの特性しか考慮しない(サービス名や事業者名等)ため、これが問題となる。本研究で対象とするITSにおいては、複数の通信デバイスを通信状況に応じて使い分け、かつ不要な通信トラフィックの発生を避ける必要があり、クライアントのセキュリティ担保の観点からも、不特定デバイスとの通信や制御においてその安全性を保証する必要がある。さらに、状況によっては大量のメッセージ通信が行われるため、通信デバイスの性能・状況、宛先への経路、アプリケーションの通信頻度など複数のレイヤに属する情報を総合的に判断できるトレースバック機構が必要となる。そこで、これらの機能要件に対して設計したプロトタイプをシミュレーションベースで評価を行い、さらに一部実機(今回はスマートフォンではなくラップトップPC)に実装し、実証実験を実施した段階である。この結果、通信デバイスの動的な選択および探索範囲の動的な調整においてセキュリティを保証する必要のある情報が整理された。なお、ここまでの成果は既に論文として採録済みである。次年度は、さらに効率の良い通信方法と認証方法を選択し、フィールド実験への段階へと進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計フレームワークをもとに実装したプロトタイプを利用した評価実験(フィールド環境での実証実験)を行い、その結果をまとめた論文が海外のジャーナル論文誌に採録され、当初の予定通り、ジャーナル論文誌の採録計画が予定通り進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、より実世界に近いフィールド実験を行うための準備を進めている。既に、実験機材とネットワーク環境は用意が出来ており、実機を実車に搭載させて検証を行っていくことを考えている。初期には、大学構内での実車走行による試験を行い、性能結果をもとに提案手法の有効性検証の精緻化を進める。これらをまとめ、国際会議およびジャーナル論文誌への採録を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、はじめに備品購入として実世界に近づけたフィールド実験を行うために実車への実装を行うための機材購入に充てる予定である。一方、共同研究を行っているフランスINRIAでの実証実験も進めるため、フランスへの渡航費用にも充てる予定である。
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