自動車などに搭載されるモバイルデバイスには、様々なサービスの提供元であるノードを探索するためのサービスディスカバリ機能が必須である。その基盤となるITSアプリケーションのためのクロスレイヤモデルは、既に基本仕様が欧州等の標準化団体によって完成しており、プロトタイプの実装、検証が行われている段階にある。そこで本研究では、そのプラットフォームに適した、より安全かつ効率の良いセキュリティプロトコルをペアリング暗号をベースとして設計し、Android上に実装し、現状のネットワーク環境を想定した検証実験を行った。今回、実機を用いた評価を実施する点が本研究の優位な点であると言える。特に、共同で実験を進めてきたフランスINRIAの研究チームは、ITS開発のパイオニアであり、EU主導の複数のITSプロジェクトのリーダを務めており、自律動作可能な自動車10台と次世代のITSに必要な諸機能(GPS、モバイルルータ、各種センサ等)を装備した自家用自動車4台を保有している。当該チームは国際的な標準化機構および(ISO、ETSI等)産業界のパートナー(欧州の自動車メーカ等)とも深く関わっており、ITS研究に関する様々な知見を交換することも出来ると考えられ、提案手法の標準化についても併せて検討を進めることができた。実際、研究期間においてペアリングベースの実装を計算機に実装し、Androidへの適用を考慮した最適化(軽量化)を実施してきた。この結果、モバイル環境で最適な軽量化した暗号パラメータの抽出し、評価結果を得た。
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