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2011 年度 実施状況報告書

物理層の影響を考慮した動的な光ネットワーク制御技術

研究課題

研究課題/領域番号 23700085
研究機関愛媛大学

研究代表者

平田 孝志  愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (10510472)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード光ネットワーク / 信号処理
研究概要

近年のインターネットの様々なコンテンツの普及に起因する爆発的なトラヒック量の増加に対応するためのネットワーク技術として,光ネットワークが提唱されている.光ネットワークは,ネットワーク内部のスイッチング等の全ての処理を光信号のまま行うことで,中間ノードにおける電気処理のボトルネックを無くし,大容量伝送を実現する.  光ネットワークは将来のインフラとして必要不可欠な技術であるが,物理層に起因する減衰や雑音等の信号劣化の問題が顕著化する.従来の電気的なネットワークにおいても信号劣化は問題となるが,光ネットワークにおいては,エンドツーエンドで光信号のままデータ伝送を行うため,ネットワーク内部における雑音除去等による信号劣化の防止は非常に困難である.このような信号劣化は,光ネットワークの伝送性能を大きく低下させてしまう.この問題を解決する根本的な方法として,伝送装置やファイバ等の改良により上記の信号劣化の要因を取り除くことが考えられるが,技術的な限界が存在する.そこで,上位レイヤから,つまりネットワーク側からの解決を図る必要性が非常に高まっている. 本研究では,このような背景のもと,物理層の影響を考慮した動的な光ネットワーク制御を行うための複数の課題を提起し,それらの解決策を提案することで,高品質光ネットワークの構築を行っている. 平成23年度では,まず,信号劣化を考えない理想的な状況における複数の光ネットワークの伝送特性を探った.一つが,ノード間を複数のファイバで接続し,疑似的な波長変換器としてみなせるマルチファイバ環境を用いた光ネットワークである.また,複数波長や並列伝送方式を用いた場合における光ネットワークの伝送性能についても評価を行った.これらの環境において,波長および経路選択手法を考案し,計算機シミュレーション実験によりその有効性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の予定では,平成23年度においては,理想的な状態の光ネットワークを扱うだけでなく,光ネットワーク内で発生している信号劣化状況を推定するような手法を提案し,その有効性を評価する予定であったが,まだ行えていない.

今後の研究の推進方策

今後の研究では,物理層による信号劣化の影響が現れてくるような光ネットワークについて扱う.その際,課題を(a)信号劣化の推定,(b)経路及び波長選択問題,(c)ネットワーク保護及び修復,の三つの小課題に分け,これらを段階的に解決することで,研究目的の達成を狙う. 課題(a)では,光ネットワーク内部の信号劣化状況を効果的に計測,推定するための手法の考察を行う.課題(b)(c)では課題(a)によって計測された情報に基づいた光ネットワーク制御を行う.まず,課題(b)において,物理層の影響を考慮した経路及び波長選択手法を考案する.光ネットワークの性能は伝送に使用する経路及び波長に強く依存する.よって,それらの戦略的な選択が必要であるが,上位レイヤのみの情報(例えば各リンクの負荷状況やトポロジー)による経路,波長選択を行うと,伝送損失が大きい経路や波長を選択してしまう可能性がある.本研究では,課題(a)によって計測された信号劣化状況に応じて動的に経路及び波長を選択する手法を提案する.また,計算機シミュレーション実験によりその有効性を示す.課題(c)では,ネットワーク保護及び修復問題について扱う.光ネットワークでは大量のデータが伝送されるため,故障等が発生した場合,多くのユーザに影響が出る.そこで,代替経路の利用等の光ネットワークの保護及び修復手法が提案されている.また,障害復旧にあたっては,どこで故障が発生したのかを素早く特定することは非常に重要である.そこで,課題(a)で得られた情報をもとに代替経路を作成し,障害発生時には,同時に故障個所を特定するような保護及び修復手法を提案する.また,計算機シミュレーション実験を用いて,その有効性を評価する.

次年度の研究費の使用計画

本研究は計算機シミュレーションにより評価を行うため,主に使用する設備は計算機である.この際,大規模なネットワークシミュレータを使用するため,高性能な計算機が望ましい.そのような高性能計算機の購入を計画している.また,研究動向調査のため,光通信技術に関する研究資料が必要となる. さらに,国内外の学会における研究成果の発表や,関連する研究者との打ち合わせのための旅費として使用することを計画している.また,研究成果を論文誌に投稿するため,その掲載費や別刷り代に使用する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Parallel and multi-wavelength downloading in optical grid networks2011

    • 著者名/発表者名
      Kouji Hirata
    • 雑誌名

      Photonic Network Communications

      巻: 3 ページ: 245-253

    • DOI

      10.1007/s11107-011-0324-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Dynamic routing and wavelength assignment scheme using signaling of backward reservation in multifiber WDM networks2011

    • 著者名/発表者名
      Dewiani
    • 学会等名
      the 2nd IEEE International Conference on ICT Convergence (ICTC 2011)
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      2011 – 0927
  • [学会発表] マルチファイバWDMネットワークにおける後方型波長予約を用いた経路及び波長選択手法2011

    • 著者名/発表者名
      平田孝志
    • 学会等名
      電子情報通信学会NS研究会
    • 発表場所
      宮城県
    • 年月日
      2011 – 0902
  • [学会発表] Wavelength selection based on wavelength availability in multi-fiber WDM networks2011

    • 著者名/発表者名
      Dewiani
    • 学会等名
      the 2nd IEEE International Conference on Multimedia Technology (ICMT 2011)
    • 発表場所
      Hangzhou, China
    • 年月日
      2011 – 0728

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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