研究課題
近年のインターネットの様々なコンテンツの普及に起因する爆発的なトラヒック量の増加に対応するためのネットワーク技術として,光ネットワークが提唱されている.光ネットワークは,ネットワーク内部のスイッチング等の全ての処理を光信号のまま行うことで,大容量伝送を実現する.光ネットワークは将来のインフラとして必要不可欠な技術であるが,物理層に起因する減衰や雑音等の信号劣化の問題が顕著になる.このような信号劣化は,光ネットワークの伝送性能を大きく低下させてしまう.この問題を解決する根本的な方法として,伝送装置やファイバ等の改良により上記の信号劣化の要因を取り除くことが考えられるが,技術的な限界が存在する.そこで,上位レイヤから,つまりネットワーク側からの解決を図る必要性が非常に高まっている.本研究では,このような背景のもと,物理層の影響を考慮した動的な光ネットワーク制御を行うための複数の課題を提起し,それらの解決策を提案することで,高品質光ネットワークの構築を行った.平成23年度では,信号劣化を考えない理想的な状況における複数の光ネットワークの伝送特性を探り,計算機シミュレーション実験によりその性能を評価した.平成24年度は,信号劣化要因として非線形光学効果を考え,その影響を調べた.その中でも四光波混合に着目し,四光波混合の発生を抑制するような光ネットワーク制御手法を提案した.また,計算機シミュレーション実験により,提案した手法の有効性を示した.最終年度である平成25年度には,四光波混合及び光ネットワークで消費される電力の双方に着目し,四光波混合の影響及び消費電力を同時に低減する手法の提案を行い,計算機シミュレーション実験により評価を行った.また,研究成果は複数の論文誌に掲載された.これらの研究成果は今後の光ネットワークの発展に大きく貢献できると考えている.
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電気学会論文誌
巻: 採録決定済み ページ: 採録決定済み
Photonic Network Communications
巻: vol.26, no.2 ページ: 120-130
10.1007/s11107-013-0414-2