研究課題/領域番号 |
23700088
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神武 直彦 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 准教授 (20549836)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 測位 / 屋内外シームレス / 異種測位方式 / 位置情報サービス / GPS / 準天頂衛星 / IMES / 屋内地図 |
研究概要 |
本研究は、屋内外シームレス測位における測位精度や測位速度などの測位性能を向上させることを目的としている。必要とする測位性能を満たす測位方式を屋内外それぞれで個別に適用し、屋内外をまたぐ測位においては、一方の測位方式の測位結果を他方の測位方式での測位補強データとして利用する「異種測位方式協調機構」を構築することで、屋内外シームレス測位の性能の向上を目指している。具体的な目的は以下の3つである。 (1)様々な位置情報サービスの屋内シームレス測位に対する測位性能要求を分析する (2)各々の測位方式における測位補強/補完の仕組みの有効性を確認する (3)屋内外シームレス測位性能向上のための異種測位方式協調法を確立する 今年度は、測位性能要求を分析し、各々の測位方式における測位補強/補完の仕組みの有効性を確認することを重点的に実施し、それらの成果を踏まえ、屋内外シームレス測位性能向上のための異種測位方式協調法の検討を行い、特定の条件でのその有効性の確認を行った。具体的には数10名程度の被験者を募り、既存の複数の位置情報サービス(LBS)について、人やモノが屋内外をまたいで移動した際のサービスの挙動を確認頂き、アンケートやインタビュー、観察によって必要とされる測位性能についての分析を行った。また、新たなに誕生するLBSを想定し、簡単なプロトタイプを作成し、その挙動についての被験者が期待する動作をインタビューで明らかにし、必要とされる測位性能の分析を行った。また、GPS、準天頂衛星、IMES、無線LAN、自己位置推定法の技術について、それらを実際に用いて同じ環境下で測位を行うことでその特徴や測位性能を明らかにし、屋外から屋内への移動を想定ケースとして異種測位方式協調法の設計と試作、評価を行った。その結果、屋外から屋内の移動に関しては、試作した方式にて初期測位速度、測位精度が向上することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に対し、平成23年度の研究計画として設定した内容については異種測位方式協調機構の設計とプロトタイプ構築まで含め、予定通り成果を出せたと考えている。ただ、測位方式間でのデータのやりとりについては、現状、オフラインでの処理および性能評価にとどまっており、リアルタイム性を向上させることを来年度の取組みに盛り込みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
試作した異種測位方式協調機構について、人やモノの移動の条件について様々な条件を適用し、実用化を念頭においた評価と改良を行う。処理のリアルタイム性を向上させることがチャレンジのひとつである。詳細の研究計画については、概ね当初予定通り以下の3つのタスクを中心に進める方針である。1. 異種測位方式協調機構の測位性能評価と改良 実証実験での運用を行うために、平成23 年度に構築するプロトタイプを対象に、GPS とIMES、GPS と無線LAN といった2 つの異種測位方式を組み合わせた条件での測位性能評価を行い、そこで明確になった機能性能面での問題を改良する。2. 実証実験場所を対象とした測位用データの作成 実証実験を行うには、その実証実験場所の各地点における天空障害図や屋内外地図といった測位用データの整備が必要である。実証実験場所を調整の上、測位用データを作成する。3. 実習実験場所を対象とした異種測位方式協調機構のLBS への適用評価 実証実験の際には、異種測位方式協調機構の測位性能を評価すると共に、実際のLBS に適用した上での有効性評価を行うことが重要である。研究代表者は、既にリアルタイム防災システムや買い物支援ナビゲーションシステムなどのLBS を構築しているため、それらのLBS に適用し、評価することによって本研究の有効性を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画通り使用するが、前年度繰り越し分については、今年度、課題となった処理のリアルタイム性の向上、ならびに、研究成果を社会・国民に発信するために使用する予定である。
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