研究課題
本研究はスマートフォン等の普及型携帯端末に搭載されるカメラやセンサ(Wi-Fi、地磁気、加速度)を活用し、AR(Augmented Reality)によるナビゲーションアプリケーション(以下、ARナビ)のための高精度な屋内測位・姿勢推定を実現する。現状のARナビは、センサの単独出力値が屋内で低精度なため実映像上のコンテンツ表示位置が大幅にずれる問題がある。我々はこれに対し、全天球パノラマ写真上の正確な位置にコンテンツを重畳表示するシステムを開発している。本提案によってその場のパノラマ写真(=ユーザ位置)と写真内座標(=姿勢)が特定できれば高精度なARナビが実現可能となる。本提案はインフラ構築コストが低く、普及型携帯端末を利用可能な実現可能性の高い手法である。研究期間内にライブラリ等の成果物を公開し多くの開発者に利用してもらうことで、現在のARナビの高精度化が可能で、またその他の高精度な測位・姿勢推定を要するアプリケーション(避難経路誘導や迷子案内、施設管理、ライフログ、エクササイズ、ゲーム等)にも応用可能である。平成24年度は、昨年度に作成したセンサフュージョン、テンプレートマッチングによる屋内測位・姿勢推定システムを統合して、測位・姿勢推定システムをサーバとして構築した。また、カメラ画像のマッチング対象となる大阪梅田周辺地下街の背景パノラマ写真を9月に再撮影して測位実験の準備を行った。更新結果単体の成果は大阪地下街株式会社が運営している「うめちかナビ」内で動作するパノラマビューワに反映されている(http://www.umechikanavi.jp)。Android端末に測位クライアント機能を実装し、3月に大阪梅田周辺地下街にて実証実験を行い、最大測位誤差が4m、姿勢推定については概ね背景パノラマ写真の範囲内に収まるという結果を得た。
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情報処理学会 論文誌
巻: Vo.53, No.4 ページ: pp.1349--1359
巻: Vo.53, No.5 ページ: pp.1546--1557