研究課題
引き続き、一般ユーザが写実的CGを手軽に制作可能にするという研究目的のもと、写真を入力として実世界の現象を再現・模倣するような手法を開発し、国際会議や国際論文誌、国内会議などで成果を発表した。具体的には、前年度に「今後の推進方策」として挙げたプロジェクトを推進した。「髪型画像から抽出した流れ場に基づく髪型画像の編集」については、毛髪画像から抽出した2次元ベクトル場を利用して毛髪画像の再照明を行う研究を、国内会議で発表した。この研究はまだ初期段階ではあるが、世界的に見ても例がなく、実現した際の学術的価値および実用性は顕著であると思われる。「画像から推定されたシーンの奥行きに基づく画像中の物体の再配置」については、前年度に行った景観画像からの簡易的な3Dシーンの構築を応用して実現した。成果は国内シンポジウムで発表済みであり、今後、国際論文誌への投稿を予定している。この研究成果は高度な画像編集を実現するもので、応用範囲が広い。「画像中の映り込み部分におけるフレネル反射を考慮した画像合成」に関しては、前年度の研究成果に加え、既存手法との比較検討を行なった論文が、難関国際会議であるEurographics Symposium on Rendering 2012に採択された。この研究の対象とする問題は、2種類の未知画像を線形モデルに基づいて推定・分離する、いわゆるマッティングの一種である。しかし、フレネル反射を対象とした問題設定は世界初であり、この成果はコンピュータグラフィクス分野のみならず、コンピュータビジョン分野でも新たな研究を生み出すことが期待される。学術的価値は極めて高いものと思われる。
2: おおむね順調に進展している
前年度と同様に、研究計画に挙げた内容を国際会議や国際論文誌にて発表でき、また新たな研究テーマのための知見も得られていることから、順調に進展していると判断する。
引き続き、プロジェクトベースで研究を進める。具体的には、屋内景観画像における照明効果の変更、衣服画像による仮想試着、景観画像に対する詳細な立体化などに取り組む予定である。
研究費は前年度と同様に使用させていただく予定である。すなわち、物品費としてPC、ソフトウェア、書籍などの研究資料に充てる。旅費として国際会議や国内研究会および研究打ち合わせに充てる。その他、学会参加費などに使わせていただく。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
Computer Graphics Forum
巻: Vol.31, No.4 ページ: 1435-1443
10.1111/j.1467-8659.2012.03139.x
IEEE Computer Graphics and Applications
巻: Vol.32, No.6 ページ: 18-25
10.1109/MCG.2011.85
http://kanamori.cs.tsukuba.ac.jp/projects/reflection_matting/
http://www.npal.cs.tsukuba.ac.jp/~iizuka/projects/3Dscene/3dscene_eng.html