本研究では、大規模時系列ネットワークに対する汎用的3次元可視化基盤技術を実現し、同時に、可読性向上技術、グラフレイアウト高速化技術、およびインタラクティブな情報探索技術を確立することを目的とする。3次元空間を利用することにより、時系列変化(ネットワーク構造変化+値変化+情報の流れ)を大規模ネットワーク上に同時に可視化可能にする点を大きな特色とする。研究期間全体を通じて、以下のように研究を進めた。 (1)可読性の高い大規模時系列ネットワーク表示技術の確立:複雑で巨大なネットワークに対して時間軸を考慮しつつ可読性を高める手法を確立した。(2)時系列情報量変化およびフロー可視化基盤技術の拡張:時系列情報量変化の可視化基礎技術の拡張を行った。主に時間軸方向のノードの属性値および、エッジの属性値変化の可視化手法の開発を行った。(3)探索インタフェース基盤技術の確立:(1)(2)で確立した可視化手法の上でのインクリメンタルな情報探索、ブラッシング・アンド・リンキング操作などの複数可視化結果の連携機能等の技術を確立した。(4)高速レイアウト技術の確立:GPGPUを用いた並列計算技術等を応用した高速グラフレイアウト計算技術に関する有効な計算手法の検討を行った。(5)課題(1)(2)(3)および(4)により確立された技術の応用:確立された技術を大規模ウェブ情報のマイニングシステム、小規模時系列情報探索例として歴史史料解析データに対するインタラクティブ時系列探索システムへ具体的に応用し、本手法の有効性を検証した。 最終年度には、前年度に引き続き(1)-(4)の技術検討および実装を行い、(5)においてこれらの技術を具体的に応用し、本手法の有効性を検証した。
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