主題図作成技術の研究開発を行った。期間内に、1異なる情報レイヤーの描画システムの開発、2土器を対象とした主題図作成インタフェースの開発、および、3平行投影図の「視点」変更システムの開発を実施した。 1異なる情報レイヤーの描画システムの開発では、異なる情報レイヤーを高い自由度で閲覧可能なインタフェースの開発を行った。情報の受け手の身体的操作で情報レイヤーを選択できる情報閲覧インタフェースを発想し、裸眼で見た時とフィルタを通して見た時とで異なる情報レイヤーを表示することができる描画技術を検討し、3次元ディスプレイと偏光フィルタを使用して、情報レイヤーの選択が可能な描画システムのプロトタイプ作成を行った。 2土器を対象とした主題図作成インタフェースの開発では、主題図の対象の拡張として、土器を対象とした主題図作成インタフェースの開発を行った。博物館の研究員とのインタビューや議論を通して、土器の主題図作成インタフェースをデザインした。現在、実装に向けて試作を行っている。試作の結果を使用して、考古学者のレビューやワークショップを実施する予定である。 3平行投影図の「視点」変更システムの開発では、地図をダイアグラムの一形態と捉えて、ダイアグラム全般に対する調査検討を行った。そして、平行投影図のうち、明示された直交座標軸を基に空間が表現されているようなダイアグラムに着目し、このようなダイアグラムの閲覧、作成、修正、調整などを支援するソフトウェアを開発した。開発したソフトウェアは、ユーザがドラッグにより座標軸を移動させることで、異なる「視点」のダイアグラムを容易に作成することができる。加えて、既存のダイアグラム画像からの情報抽出システムも開発し、本開発システムのリソースとして活用できるようにした。作成したシステムの実験と検討を行い、現在は論文の投稿段階である。
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