研究課題/領域番号 |
23700131
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
鷹野 孝典 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (40434419)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | モバイルシステム / 情報獲得行動モデル / データベース / 情報推薦システム / 拡張現実感 |
研究概要 |
(1)基本機能の設計・実現平成23年度は,スマートフォン端末上で動作する情報嗜好プロファイル機能の一部を実装した.この機能は,(1)3Dコンテンツの閲覧時間,カメラ撮影といった情報閲覧・獲得行動を常時監視する機能,及び(2)それぞれの情報閲覧操作に応じて3Dコンテンツに対応付けられるメタデータ・データベースより,その3Dコンテンツを説明する重要なキーワード群を重み付特徴単語として抽出し,個々人の情報嗜好プロファイル・データベースに格納する機能,より構成される.本機能により構築された情報嗜好プロファイル・データベースは,モバイルユーザの興味や関心を示す個人プロファイルとして利用される.この個人プロファイルを情報配信・推薦システムに適用することにより,不必要な情報コンテンツを排除し,必要な情報のみをモバイル端末へ配信・推薦するといったように,そのユーザの情報嗜好に応じてパーソナライズされた情報コンテンツを配信・推薦することが可能となる.(2)モバイル学習教材への適用(1)で述べた基本機能をモバイル環境における学習教材に適用し,教科書とスマートフォンの連携によるモバイル学習教材の開発例として,マルチメディア魚図鑑の実現を行った.マルチメディア魚図鑑では,図鑑のページ印刷されたマーカにスマートフォンのカメラをかざすと、魚の3Dグラフィクスがスマートフォンの画面上に表示される.本システムにおいて,3Dコンテンツ閲覧時の操作(保存,回転,メール送信)履歴や閲覧時間・頻度は個人学習プロファイルとしてデータベースに蓄積される.また,ページ中の説明文やタイトル等もマーカに対応付けてデータベースに格納しておくことで,3Dコンテンツ閲覧時にその説明文やタイトルの情報も閲覧内容として記録することができる.この学習プロファイルは,学習者への今後の学習コンテンツ推薦のために利用することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに,モバイル環境における情報閲覧・獲得行動モデルの導出を目的とした実証実験を実施するための実験システムの基本機能の設計,及び一部機能の実装は完了している状況である.しかしながら,(1)スマートフォン上のディスプレイに適したユーザビリティの高い拡張現実ユーザインターフェースの設計と実装,及び(2)実証実験を行うために十分な数の情報配信用3Dコンテンツを用意できていない点が,当初の計画よりも遅れている.これらの課題に対しては,現在も継続して研究を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究で実現される拡張現実UIを備えた次世代型の情報コンテンツ配信システムを用いて,モバイルユーザを対象とした情報閲覧・獲得行動に基づく知識獲得モデルを,生態系フィールドワークを通じた実証実験により導出を行う事を計画している.生態系フィールドワークの対象地域としては,国内では初夏の時期に神奈川県丹沢地域,国外では,夏季にカナダ・ロッキー山脈を予定している.本研究では,生態系フィールドワークを通じた実証実験を実施することにより,提案する情報配信システムの基本機能として,個々人の生態系に関する調査・学習履歴より抽出される意図や関心に応じて,高精度に AR知識コンテンツを提供できることを評価すると共に,日本の生態系だけではなく,海外の生態系にまで視野を広げることにより,国内にとどまることなく,国際的感覚を伴って,生態系フィールドワークにおける情報獲得モデルの有用性・有効性を検証していくまた,近年性能向上が顕著な音声認識機能や手書き文字認識機能を利用して,通話履歴や手書きメモをテキスト化することが可能になっている.本研究では,このような技術的に新しい機能を利用した情報閲覧・獲得行動を対象としてモニタリングを行い,音声や手書き文字から得られる特徴単語に基づいた個人プロファイル構築の強化も行っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験システムの構築に必要な開発用PC,サーバー機器,Androidモバイル端末,通信機器等は,H23年度において購入済である.次年度では,情報配信用の3次元CGコンテンツの製作費や実証実験をサポートしてくれる実験人員への人件費,及び本研究の成果発表のための,国内・国際会議における参加旅費として研究費を使用していく予定である.
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