研究概要 |
アイテムの限定価値を考慮した推薦システムの実現に向けた研究を行ってきた.本研究では,人は,いつでもどこでも手に入るアイテムよりも,いまだけ,ここだけしか手に入らないアイテムに魅力を感じるという点に着目し,アイテムの限定価値の表現方式について検討してきた.特に,空間的限定価値,時間的限定価値に着目して研究に取り組んできた.従来の嗜好に忠実な情報推薦とは異なり,限定価値を考慮した情報推薦システムは,今後の新しい観点に基づく推薦システムの実現可能性を示す位置付けになると捉えている. 1.空間的限定価値 対象とする空間全体に対し,対象地域における出現頻度が相対的に高いアイテムを地域限定性の高いアイテムと定義し,その尺度を地域限定性スコアとして定式化した.位置情報付きのコンテンツとして,グルメ情報サイトであるぐるなびから,62,571件の飲食店データの収集を行った.この位置情報付き飲食店データを解析することで,対象とする地域ならではの名物やランドマークなどを抽出する手法を提案した.空間的限定価値を考慮した推薦システムを開発し,被験者評価によりその有用性を示した. 2.時間的限定価値 時間的限定価値を算出するために,Twitterにおいて発信されるツイート群の位置情報および時間情報に基づき解析することで,観光地の時間的特徴付けを行う手法を提案した.特定の時期において相対的にツイートの発信数が高い観光地を時間限定性の高い観光地と定義した.時間的限定価値を考慮した推薦システムを開発し,被験者評価によりその有用性を示した. なお,最終年度では,応用システムとしてグルメ推薦システムおよび観光スポット推薦システムの開発を行い,Webシステムとして公開した.
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