研究課題/領域番号 |
23700133
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
宮脇 健三郎 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (30585005)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 調理支援 / 個人適応 / 調理動作認識 / モデル生成 |
研究概要 |
本研究の目的は,計算機が人間の調理行動を認識し,状況に応じた支援をおこなうために,レシピから調理行動認識用モデルへの変換手法を確立することである.このような目標を達成するため,平成23年度は,まず,レシピの動作単位への展開方式を確立した.人間のために記述された自然言語のレシピは,常識的な部分が省略されており,調理で必要とされる動作を網羅的に記述したものではない.例えば,食材の切砕加工においては,包丁やまな板を取り出す動作が必要であるが,一般的にはそのような動作はレシピに記述されていない.そこで,本研究では,食材加工に必要な準備のための動作を準備動作と定義し,一般的なレシピを,食材の加工とそれに付随する準備動作の集合に展開するようにした.展開された動作の大半は,動作に必要な物品の移動を検出するといったように,研究代表者が既に確立している方式により認識可能であるが,調理行動を全て認識するには,人間の手の動きに関する情報や,食材の状態変化に関する情報を抽出することによる,さらに粒度の細かい認識が必要である.そこで,画像による物品の位置検出ではなく,加速度センサ付きの包丁を作成し,得られたデータから,食材の切砕加工を認識するう方式について検討した.包丁を扱う動作は,調理の中でも重要かつ危険な動作であるため,それを認識することの重要性は高い.この検討結果は,実際に,障害を持った調理者のリハビリテーション現場で実験を行い,その結果を2012年3月13日のマルチメディア・仮想環境基礎研究会(MVE)にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように,平成23年度は当初計画の予定通り,調理レシピからの行動モデル生成と,調理に必要とされる動作の認識方式の改善を行うことができたため,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,当初計画通り,「調理行動認識用モデルを個人適応させるためのパラメータ学習方式」の完成と,「調理誤り検出手法」の確立を目指す.「調理誤り検出手法」に関しては,典型的な調理誤りとして考えられる,(a)手順欠損,(b)余分な手順の挿入,(c)時間誤り,の3つの誤り検出方式の実現に取り組む.これには,調理動作認識モデルによって推定された結果と,モデル生成のもととなったレシピとを照合することで可能と考えているが,調理者が初心者のために誤って手順を飛ばしてしまったのか,熟練者であったために意図的に手順を省略したのか等の判別が困難であるという問題がある.この解決には,対話型のインタフェースによって判別する等の実装上の工夫が考えられるが,調理者に不快感を与えないようなバランスが実現できるように試行錯誤し,双方の技術を完成させる.これらの技術についても,実証実験を行い,結果を学会で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,3次元データの取得環境をより強化するための物品費および,国内外での成果発表のための旅費として予算を使用する予定である.平成23年度に使用した,3次元情報観測用深度センサ,「Xtion Pro Live」は計量かつ小型であり,動作認識に極めて有効であることが分かったため,実験データの取得を加速させるために追加購入したい.また,当該センサの性能を十分に引き出すため,センサ駆動用のGPU搭載PCを購入する.23年度中にデスクトップタイプを購入しているので,24年度は効率的な実験を行うために,容易に移動可能なノートPCを購入する.現状の物品費の購入計画概要は以下のとおりである.(1)3次元情報観測用センサ…Asus Xtion Pro Live(6×@20,500)(2)GPU搭載のセンサ駆動用ノートPC…NEXTGEAR-NOTE 17.3型/ GTX675M 搭載モデル(2×@160,000)(3)データ保存用Network Attached Storage…(2×@100,000)
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