研究課題/領域番号 |
23700135
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
菊地 浩平 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 特任研究員 (60582898)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 手話表現 / 手話通訳 / 専門用語 / 話し言葉 / データベース / 情報基礎 |
研究概要 |
本研究課題の目的は,ろう者と聴者とが参加する学術ミーティング(読書会,研究大会,ワークショップ等)における専門用語通訳に資するデータベースの構築である.平成23年度は本研究での対象データとなる手話通訳者の専門用語表現を収集するために,以下の3つを具体的な課題として設定した.(1)学術ミーティング場面(開始前の打ち合わせ含む)の収録: 月2回程度の頻度で開催される読書会を中心に,20時間程度の映像資料および文字資料(読書会のレジュメ)を収集した.収集した映像資料および文字資料は対応がとれるよう整理した上で保管した.(2)収録データからの専門用語および手話表現抽出: 映像資料をPCおよび映像再生機器(DVD/BDプレーヤーなど)で再生可能な形式に変換し,実際に手話通訳を担当した通訳士および申請者による確認から専門用語表現の抽出を実施した.結果として17の専門用語表現が抽出された.具体的には「順番交替」「隣接ペア」「修復」「先行連鎖」といった会話分析研究における基本概念の表現,および「行為と行動」「応答と答え」の区別といった周辺的議論で用いられる表現である.(3)抽出された専門用語および手話表現の検討: (2)で抽出された専門用語表現を検討するワーキンググループを設置し,年度内に2時間程度の検討会を3回開催した.ここでは手話表現の妥当性(e.g. 手話表現としての自然さ,再生のしやすさ),専門用語理解のための資料整備を実施した.また議論の中では同じ用語にたいする手話表現のバリエーションが(漢字借用,指文字使用,直訳,解釈説明,またはこれらの組み合わせなど)が存在し,ある程度柔軟に運用されているという知見がえられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではテキストに合わせた表現を作成する従来のデータベース・用語提案とは異なり,実際に使われている手話の話し言葉表現の抽出から専門用語表現のデータベースを構築することを目指している.このための作業進捗はワーキンググループでのディスカッションを含めおおむね順調である.また抽出された表現の検討で妥当性や理解促進のための資料整備だけでなく,様々な表現バリエーションの抽出ができたことは,本研究の目的に鑑みて重要な知見であると考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究が達成されるには,すでに進めてきたワーキンググループでの検討を継続することに加えて次の2つの課題を達成する必要がある. 1つは(1)手話表現データベースを公開するさいの形式を定め,各資料を適切なかたちで情報化することである.これについてはすでに検討を開始しており,収録された映像を基本として文章または手話翻訳映像による説明を付与した形式での公開を予定している.もう1つは(2)公開するデータベースの構築プロセスおよび設計を参照可能なかたちに整理することである.これは(1)を遂行する中で整理していくとともに,積極的に成果発表の機会を設けることで全体の設計も含めてブラッシュアップする.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は,主にデータベースに格納する手話表現の事例数を増やし,表現の妥当性を検討するためのサンプルを収集する目的で使用する. 具体的には(1)手話通訳者の配置される読書会やミーティングの収録協力謝金,(2)収録されたデータの整備にかかる作業謝金,(3)年4回の開催を予定しているワーキンググループでのディスカッション参加謝金,および(4)それらの出席に必要となる交通費である.また(5)成果発表のための学会・研究会出席のための交通費としての使用も計画している.
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