研究課題/領域番号 |
23700143
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝浩 岐阜大学, 工学部, 助教 (70432185)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 技能伝承 / ハプティックインターフェイス / バーチャルリアリティ / 情報システム / 教育工学 |
研究概要 |
本研究では、5指に3軸の力覚を提示可能な多指力覚提示装置を用い、3次元空間での手指技能訓練システムの構築を目的としている。本年度は、熟練者の指先位置や指先力を保存し、初学者へ提示するフィードフォワード型訓練法(与えられた手本を真似て訓練を繰り返す自習に対応)の提案、熟練者が初学者の指先位置や力を観測し、適宜修正するフィードバック型訓練法(指導に対応)のためのシステム構築を行った。また、関連の深い道具型力覚提示装置に関する研究も並行して行った。 フィードフォワード型訓練法では、記録しておいた熟練者の指先力と、初学者(訓練者)が物体に触って感じる力を、多指力覚提示装置により訓練者へ交互に提示し、力の伝達を行う。この際、熟練者と訓練者の力を提示する提示時間(提示周期)によって、技能伝達精度が大きく変化すると考えられる。そこで被験者実験を行い、最適な提示周期を導出した。すなわち、様々な熟練者の動作周期、力の提示周期、訓練者の力の提示周期に対して、最も力誤差が小さくなる最適提示周期を決定した。そして評価実験を行い、その有効性を検討した。現在、論文誌への投稿を準備中である。他方、次年度以降に行うフィードバック型訓練法のための実験設備として、当初の計画通り、システムの構築を行った。また、製造業分野、医療分野、伝統工芸分野など様々な分野において、人間は多種多様な道具を用いて作業を行う。そこで、複数の道具(メスおよびピンセット)を仮想環境で扱える道具型多指力覚提示装置を研究開発した。 最後に、今年度は以上の結果の一部を、IEEE/SICE International Symposium on System Integrationで発表し、SII2011 Young Author's Awardを受賞されるなど、順調な成果が挙げられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
指導と自習を行える信頼性の高い次世代高度教育訓練システムの確立を目指し、交付申請書における本年度の目標は、自習に対応するフィードフォワード型訓練法を提案すること、フィードバック型訓練法用のシステムを構築すること、とした。フィードフォワード型訓練法においては、最も重要となる、熟練者と訓練者の力の最適提示周期の決定を行った。また、次年度以降に行う指導に対応するフィードバック型訓練法のための実験設備として、当初の計画通り、既存設備である多指力覚提示装置を利用して、システムの構築を行った。このため、研究目的に対する本年度までの達成度は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、次年度では、フィードバック型訓練システムの教示法の解明を行う。フィードバック型訓練法では、熟練者が初学者の操作を観測し、初学者が誤った操作をした場合、適宜修正する必要がある。熟練者側、初学者側の力覚提示装置にて、仮想環境からの反力に加えて、それぞれの指先位置が等しくなるように、それぞれの指先位置のPD 制御で構成された牽引力を追加し、フィードバック型訓練教示法を確立する。なお本年度は、提案したフィードフォワード型訓練法に関する国際論文を投稿予定であったが、評価実験が遅れた。このため、論文の英文校正に係る次年度使用額が生じた。次年度以降、早急に実験結果をまとめ、論文投稿を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
フィードバック型訓練システムの教示法の解明のため、センサ等のシステム改良試作費を計画している。また、研究成果の社会への発信等のため、学術講演会での成果発表、英文校正費、学生の実験補助費等を計画している。なお本年度において、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、上記の今後の研究の推進方策で述べた通り、英文校正に用いる計画である。
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