研究課題/領域番号 |
23700143
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝浩 岐阜大学, 工学部, 助教 (70432185)
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キーワード | 技能伝承 / ハプティックインターフェイス / バーチャルリアリティ / 情報システム / 教育工学 |
研究概要 |
本研究では、5指に3軸の力覚を提示可能な多指力覚提示装置を用い、3次元空間での手指技能訓練システムの構築を目的としている。本年度は、熟練者が初学者の指先位置や力を観測し、適宜修正するフィードバック型訓練法(自習と指導における指導に対応)を提案し、その教示法の解明を行った。また、本研究に関連の深い道具型力覚提示装置および多指ハプティックインターフェイスに関する研究も並行して行った。 フィードバック型訓練システムとして、技能を学習中である初学者の動作(指先位置や指先力)を熟練者がリアルタイムで感じ、学習中の初学者の動作において、どこをどのように修正しながら学習すれば良いか教示できるシステムを研究開発した。学習心理学の観点からは、技能習得には反復練習(自習)だけではなく、指導者による適切な教示が重要であることがよく知られており、熟練者が誤った操作をした場合、適宜修正することができる本システムは、より高精度での初学者の学習能力の向上が期待できる。特に提案教示法では、初学者が仮想環境内にある仮想物体を操作している最中、熟練者が初学者側に牽引力を与え、正しい動作を教示することとした。そして実験を通し、初学者の技能習得における精度を向上させることが可能と分かった。なお、初学者が自分の訓練を第一に行いたい場合は、牽引力が小さくなるよう、PD制御のゲインを小さく設定し、他方、熟練者の教示効果を大きくしたい場合は、そのゲインを大きく設定することで、様々な要望にあった教示が可能となることが確認できたが、熟練者の牽引力を初学者へどのくらい入れることが最適であるかは議論の余地があり、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
指導と自習を行える信頼性の高い次世代高度教育訓練システムの確立を目指し、交付申請書における本年度の目標は、フィードバック型訓練システムの教示法の解明として、フィードバック型訓練法の提案を目指した。牽引力を考慮したフィードバック訓練法を研究開発し、その有効性を、実験を通して確認できており、研究目的に対する本年度までの達成度は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、次年度では、ハイブリッド型訓練法の確立を目指す。特に、本年度までに提案したフィードフォワード型訓練法およびフィードバック型訓練法の結果を統合し、自習と指導が出来るハイブリッド型訓練法を確立する。技能習得には反復練習(自習)だけではなく、指導者による適切な教示を与えることも重要であることが知られており、それらを行える訓練法の提案を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には新たな実験装置の作製は行わないものの、ハイブリッド型訓練システムのため、これまで開発してきたシステムの改良試作費を計画している。また、研究成果の社会への発信等のため、学術講演会での成果発表、英文校正費、学生の実験補助費等を計画している。
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