研究課題/領域番号 |
23700145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
酒田 信親 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40452411)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 遠隔協調作業 / Procams / 身体性 / 身体動作の拡大縮小 |
研究概要 |
当該年度は、様々な場所や身体に設置または装着可能で、さらにハンドヘルドが可能であるようなProcamsを開発した。具体的には、遠隔協調作業のために作業環境を広く撮影する必要があり、かつ身体性を維持した入力を実現するために、高画角のカメラと赤外線ベースの深度カメラ、そのようなカメラの画角に合わせAR情報を投影するために、高画角投影可能なプロジェクタを一体にしたものを作成した。 この高画角撮影かつ高画角投影が可能なProcamsを使い身体性を考慮した指示者指差しの実世界重畳表示による一人称視点の遠隔協調作業システムを構築した。具体的には、開発したProcamsを現場に取り付け、そして同様に指示側の天井にも固定し、その下に指示者用のテーブルトップインタフェースを設置した。基本的には、作業者側の作業環境を撮影し、それを指示者側のテーブルトップインタフェースに表示し、表示された映像に対して指示をしている指示者の腕や指を赤外線の深度センサによって切り出し、腕の部分だけを作業者側に投影する機能を実装した。さらに、腕のみを切り出すことによってこの腕を小さくして表示する身体動作を拡大縮小することで、現場作業において細かい部品の指定や小さなボタン操作などを的確に行える機能も実装した。これらの研究結果から、身体動作画像の拡大縮小表現手法は,細かな箇所を指定する作業において有効であること,さらに,小さな対象への指示に対して有効であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画で予定していた、様々な場所や身体に設置または装着可能で、さらにハンドヘルドが可能であるようなProcamsを開発した。このProcamsの開発は研究計画の根幹をしめるものであり、この開発の成功によって、様々な場所や状況で拡張現実感を容易に実現可能となった。また、当初の段階では想定していなかった赤外線ベースの深度センサの搭載によって、計算コストをかけずに高精度・高速な拡張現実感を提供可能となり、研究に大きな進展をもたらしている。また、この赤外線ベースの深度センサの搭載は、指示者側のシステムにおいても大きな成果をもたらし、大きな研究拡張可能性を提示した。具体的には、撮影した映像の背景から人間の骨格モデルのみを抽出可能であるので、身体動作のみをカメラの中より取り出し、それらを拡大縮小することによって、表現力の変化・向上を実現した。当該年度では、指示者の腕のみを抜き出し、これを縮小し作業者側に提示することで、細かな箇所を指定する作業において有効であること,さらに,小さな対象への指示に対して有効であることを示した。しかしながら、この手法を全身に適用すると身体表現を変化・向上することで、さまざまな研究に応用可能であると考えている。この身体動作画像の拡大縮小表現手法の発見は研究の一つの大きな成果であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度で開発した様々な場所や身体に設置または装着可能で、さらにハンドヘルドが可能であるようなProcamsと壁や柱や天井に設置可能なProcamsを統合したシステムを開発する。これら、統合したProcamsシステムをユーザテストによって評価し、得られた結果をとりまとめ成果を発表する。特に当該年度で得られた大きな研究成果の一つである身体動作画像の拡大縮小表現手法に関して、全身への適用や道具への応用を考えることで研究の拡大可能性を模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に当該年度で開発したProcamsの改良と身体動作画像の拡大縮小表現手法を用いたシステムの改良に研究費を用いる。また、成果発表への旅費に使用する予定である。
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