研究課題
本研究は、コンピュータグラフィクス(CG)で生成されたバーチャルオブジェクトを、ユーザが見ているシーンに合成することで実環境に情報を付加する拡張現実感において、バーチャルオブジェクトがあたかも実環境に存在するかのように見せるために不可欠な写実性の高い合成技術の開発が目的である。本研究では合成画像の画質の整合性や光源環境に起因する実環境とバーチャルオブジェクトの陰影の整合性を意味する光学的整合性の実現に主眼をおき、実環境の高機能計測を行うとともに、合成画像を提示するための表示機器の性能などを総合的に考慮した、写実的拡張現実環境の開発を行った。平成24年度は、主に研究項目(2)時系列に異なるシャッタスピードで撮影した画像群を用いた光学的整合性の実現に関して研究開発を実施した。画像群を時系列に足し合わせて合成すればHDR画像を獲得できるが、時系列で異なるシャッタスピードを設定した場合、そのシャッタスピードの選定(長さ・組み合わせの決定)が課題となる。また、非常に微小時間ではあるが、厳密には異なる時間に撮影された画像であるため視点の移動や動物体がある場合は、幾何的位置合わせの情報を利用して視点の移動量から、位置ずれが発生しないように画像合成を行う手法を開発した。HDR画像が生成できれば、研究項目(1)で開発した技術を活用して光源推定・環境マップの獲得・レンズボケ推定を行う。モーションブラーに関しては、様々なシャッタスピードで画像撮影されていることから、画像にモーションブラーが発生しないため、視点移動を考慮すれば時系列での画像を比較することで移動体が検出でき、発生するモーションブラーが事前に推定可能となった。
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日本バーチャルリアリティ学会論文誌
巻: Vol. 17, No. 3 ページ: 139-149