研究課題
本研究の目的は,電子黒板システムにおいて「システム操作に伴う身体動作」が聴衆に与える影響を,視線情報の取得などに基づき定量評価することで,操作者のユーザビリティと聴衆のコンテンツ理解度を同時に最適化することである.24年度の計画は,「聴衆の視線の局所化を達成するインタフェースデザイン手法を洗練させる.最終的に開発したソフトウェアを公開する」であり,以下のように達成した.講演や,授業等では電子黒板操作者(発表者)が電子黒板上の提示コンテンツを視認しながら内容を確認し,進行していくことがあるが,その際に人に備わっている「共同注意」が促され、発表者が見ている対象へと聴衆の視線が誘導されてしまう可能性がある。主として発表者自身への聴衆の視線の集中が望ましい際にこの現象が起こることを防ぐため,発表者が装着したワイアレスヘッドセッドにより提示コンテンツの内容を音声化したものを提示することで,発表者の不用意な提示コンテンツ視認行為を減少し,意図しない聴衆の視線誘導を減少させる発表支援システムのプロトタイプ版を開発し,公開した.また電子黒板システムの使用時に,操作者に対し視線計測器を用いることにより,「注視していない」という領域および状況を感知し,有効活用することで聴衆のコンテンツ理解度を損なわないままで操作者のユーザビリティの向上を図るコンセプトを提案し,その第一段階としてデスクトップPC操作環境における有効性を確認した.得られた知見をまとめ,国内の当該分野の査読付きのトップカンファレンスWISS'12および国内論文誌コンピュータソフトウェア誌に論文を投稿し,採録された.研究期間全体を通じて,視線計測等を用いた定量評価を裏付けとして,電子黒板操作者と聴衆の相互の利便性を考慮したシステム構築を行うという新しい研究領域および研究手法が切り拓かれたことは意義深い.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
コンピュータソフトウェア
巻: 30(3)(印刷中)
Proceedings of International Working Conference on Advanced Visual Interfaces'12
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映像情報メディア学会誌
巻: Vol.66, No.2 ページ: 635-640
第20回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ予稿集
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