研究課題/領域番号 |
23700173
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾崎 知伸 大阪大学, サイバーメディアセンター, 特任講師(常勤) (40365458)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | データマイニング / 構造データ |
研究概要 |
本年度は、1.ネットワークデータを対象としたリンク生成に関する関連・対比パターン発見技術の開発、2.履歴データ(ログデータ)を対象としたネットワーク化技術の開発を行った。1.に関しては、時間と共に構造が変化する動的グラフを対象に、ベースとなる連結グラフパターンとそこから拡張されるリンクの対からなるリンク生成パターンを想定した上で、複数のリンク生成パターンを集約することで得られるより特徴的な(メタ)パターンとして、関連・対比パターンを新たに提案するとともに、その効率的な発見技術を開発した。具体的には、同一のベースパターンから、強い関連性を持って、ほぼ同時に生成されるリンクの集合を、リンク生成に関する関連パターンとして獲得する技術を開発した。また、関連性評価をより柔軟に行うため、ハイパークリーク及び疑似クリークに基づく2手法を開発した。一方、関連パターンの逆の意味を持つパターンとして、同一のベースパターンから強い関連性を持って、ほぼ排他的に生成されるリンク集合をリンク生成に関する対比パターンとして獲得する技術を開発した。なお、電子メールとモバイル通信に関する2つの実データを用いた実験により、開発した各手法の有効性を確認している。2.に関しては、パターン集約への、社会ネットワーク分析における関連性評価技術の適用可能性の調査の一環として、履歴データからのネットワーク生成技術の開発を行った。ユーザの行動履歴、及びユーザ属性データを対象に、種々の類似性評価技術を用いることでユーザ間のつながりの強さを推定し、ユーザ間ネットワークを構築する技術を開発した。開発した技術は、スマートフォンのアプリ実行履歴などの実データを対象に、その有用性の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つである、「関連性に着目した新たなパターンマイニング技術の開発」に関しては、動的グラフを対象とした新たな手法を提案している。また、もう一つの目的である、「部分構造パターンの集約・特徴付け技術の開発」に関しても、他分野での関連性評価技術の適用などに関する初期検討を開始しており、一定の見通しを得ている。以上の理由より、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、部分構造パターンを対象としたパターン集約の技術に関して、本格的な研究開発を開始する。まず、パターンの形状や出現回数、評価値などに着目し、同一種構造パターンの集約に対して、既存技術の拡張適用を行う。その後、異種部分構造パターンを対象とした集約技術の開発を行う。種々の関連性を整理するためのオントロジー技術や、パターン間のさらなる関連性を推定するための推論技術、パターンを構造化するためのネットワーク分析技術などを中心に、より効果的な異種パターン集約技術の実現を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額が異なったこと、及び、当初予定していた計算機サーバーの購入が遅れており、結果として23年度の研究費に未使用額が生じたが、研究計画に変更はなく、24年度に計算機サーバーを購入し、当初予定通りの計画を進めていく。
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