本研究では、主に、1.ネットワークデータを対象としたリンク生成に関する特徴的パターンの発見技術、2.履歴データのネットワーク化による特徴的ノード・特徴的部分ネッワークの同定技術、の2点に関して、それぞれ研究を行った。 1.に関しては、動的ネットワークからの関連・対比パターン発見手法を開発するとともに、その利用範囲の拡大に関して検討を行った。関連・対比パターンとは、ベースとなる連結グラフパターンとそこから拡張されるリンクの対からなるリンク生成パターンを想定した上で、複数のリンク生成パターンを集約することで得られる特徴的な(メタ)パターンである。ネットワークの共進化に対応する、強い正の関連を持つリンク生成パターンの集合を関連パターンと呼ぶ。逆に、成長の分岐点に対応する、強い負の関連(排他性)を持つパターンの集合を対比パターンと呼ぶ。特に研究の最終年度では、開発したパターン発見アルゴリズムを精査するとともに、ベースとなる連結グラフパターンにおける時間情報の扱いに関して、いくつかの変種を考案した。 2.に関しては、関連性評価技術の深化を目的に、種々の類似性・影響力等の評価尺度を用い、履歴データをネットワーク化する技術を開発するとともに、これを時間軸上に展開することで動的ネットワークを獲得する方法を検討した。これにより、時間的な変化を考慮した、特徴的なノード・部分ネットワークを同定する見通しを得た。
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