研究課題/領域番号 |
23700185
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
田仲 正弘 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所情報利活用基盤研究室, 研究員 (70534444)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | サービスコンピューティング / クラウドコンピューティング / サービス連携 |
研究概要 |
クラウドコンピューティング環境においては,柔軟な計算機リソースの配分が可能である.そのためサービス提供者は,市場の状況に応じて,サービスの価格ばかりでなく品質(=割り当てる計算機リソース,コスト)も調節できる.サービスを連携させて使用するユーザは,上限価格と下限品質を定め,それらの制約を満たすサービスの組み合わせを選択する.しかし,複合サービスの価格と品質はその全体で計られることから,一部のサービス提供者が低品質かつ高価格なサービスを提供し,大きな利益を得るフリーライダーとなり得る.一方で,全てのサービス提供者が低品質かつ高価格に設定すると,複合サービス全体の価格と品質の制約を満たせなくなり,利益が全く得られなくなる.本研究では,ユーザによるサービス提供者への利益配分によって,利己的な価格・品質の決定を防ぎ,長期的にユーザの利得が向上させる機構の実現に取り組んだ.このため,サービス連携の価格・要求のシミュレーションフレームワークを実現し,マルチエージェントシミュレーションによって,様々な価格・品質の決定戦略を持つサービス提供者に対して,ユーザが長期的に利得を向上できることを示すことを試みた.初めに協調的な価格・品質の決定のインセンティブを与える利益配分モデルを定義し,様々な戦略を持つエージェントを配置した上で,ユーザ及びサービス提供者の利益を調べた.その結果,サービス提供者の利得の総計は変化がない一方で,長期的にはユーザの利得が向上することが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では,初年度にサービス連携におけるモデルとアルゴリズムの設計を予定していた.サービス連携における利益配分シミュレーションフレームワークが実現されており,このフレームワークを用いて提案した利益配分モデルとアルゴリズムが期待した性質を示すことを確認できていることから,おおよそ予定通りの結果が達成されていると言える.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果として得られた利益配分モデルとアルゴリズムを,実システム上で実現することを目的とする.申請時の計画に記入の通り,研究代表者がこれまで参加していた研究プロジェクトの成果物であるサービス連携プラットフォームを拡張し,提案する利益配分モデルとアルゴリズムを組み込むことによって実現する.
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次年度の研究費の使用計画 |
成果発表のため,国際会議発表の参加費・旅費を計上する.また開発した利益配分モデルとアルゴリズムの実装を,シミュレーションフレームワークとしてではなく,サービス連携プラットフォームの一機能として公開するため,頑健性テストツールを含む追加開発の環境を用意する.
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