本申請研究では、全方位画像列を用いて、経路ナビゲーションのための任意視点画像生成手法の研究を行った。初年度では、(1)単一動画像列のための処理、および(2)複数動画像列のシームレスな接続のための処理に関する手法開発を行い、最終年度では、(3)仮想視点から見た新動画像列生成のための処理手法の開発を行った。 単一動画像のための処理としては、全方位動画像からカメラの動きと周辺の3次元環境を同時に推定する手法を開発し、また写りこんだ人物等の除去法開発を行った。全方位画像を利用したことにより、画角の狭い従来の画像よりも、カメラパス推定と3次元復元の精度が向上することを確認した。 複数のパスにおいて、重複して復元した3次元環境をもとに、つなぎ合わせ処理手法を開発し、大規模な地図構築のための基礎技術を確立した。画像および画像列間の類似性より複数パスで重複している箇所を検出、もしくは同じ画像列であっても復元精度が低下した場合に自動的にパスを分割することで、精度のよいサブマップをつなぎ合わせる手法を開発した。 新画像の生成に関しては、最も近い撮影済みのカメラ位置から復元した3次元環境を投影し、モーフィングによって生成する手法を開発した。本手法によりカメラの揺れを除去した画像の生成等を可能にした。 これらの個々の開発事項のほかにも、全方位および通常画像を用いたカメラパス復元や3次元復元でも、頑強な基礎行列推定や外れ値除去手法など、関連した要素技術の精度向上を図ることができた。
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