研究課題/領域番号 |
23700206
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山崎 隆治 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任准教授(常勤) (40432546)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 画像処理・認識 / 生体工学 / 情報工学 / 骨関節 / 3次元動態 |
研究概要 |
骨関節統計動態モデルに基づく関節の高精度かつ自動化を実現する3次元動態解析システムの開発を最終目標として、本年度(平成23年度)は骨関節統計動態モデルの構築を試み、そのモデルを従来の2次元/3次元画像位置合わせ技術に導入、プロトタイプシステムを開発した。 骨関節統計動態モデルの構築は、第一ステップとして人工膝関節を対象とし、従来の関節3次元動態解析システムによって時間と労力をかけて得られた大量の精密な動態データを利用した。まず、同一デザイン機種(各機種について20例)、スクワット動作(荷重下屈曲動作)を対象として、大腿骨・脛骨コンポーネントの基準座標系における各6自由度のデータから、関節動態の多様性を効率よく記述する手法(平均動態とバラツキを推定するモデリング法)を開発した。本手法によって構築した統計動態モデルの記述精度を、2次元/3次元画像位置合わせの際の"適切な初期値" が得られているかという観点で検証したところ、十分に自動解析が可能な精度であることが確認された。また、人工膝関節の他のデザイン機種についても十分に応用が可能であった。動作については、スクワット動作の他、椅子からの立ち座り動作、歩行動作を対象に統計動態モデルの構築を一部試みた。 構築した骨関節統計動態モデルを従来の2次元/3次元画像位置合わせ技術に導入したプロトタイプシステムを用いて、人工膝関節のスクワット動作を対象に、自動解析の評価実験を行った。臨床要求精度(1mm、1°以内)を満たす範囲では、約70%の自動化率(100枚の画像のうち70枚の画像)で解析が可能であり、ほぼ当初の目標が達成された。 人工膝関節以外の他の関節(人工股関節、人工肘関節、膝関節)については、データ収集を含めてデータベースの整備を着実に進め、人工股関節については20例以上のデータ収集および3次元動態解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工膝関節について、各種デザイン別、動作別に統計動態モデルの構築を試み、同一デザイン機種、スクワット動作(荷重下屈曲動作)について、構築した統計動態モデルの記述精度を検証、十分に自動解析が可能であることを確認できたことは相当の進展と考える。また、開発したプロトタイプシステムを用いた自動解析(人工膝関節のスクワット動作を対象)の評価実験では、ほぼ当初の目標としていた自動化率に達することができた。データベースの整備等では、人工股関節について目標の20例以上のデータ収集および3次元動態解析を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
開発した骨関節のモデリング手法、統計動態モデルの利用について、人工膝関節では、様々なデザイン機種でも応用可能であることが確認されたが、動作に関してはスクワット動作(荷重下屈曲動作)以外の動作(椅子からの立ち座り動作、歩行動作)について、統計動態モデルの記述精度とその有効性を検証する。 また同様に、人工膝関節以外の他の関節(人工股関節、人工肘関節、膝関節)についてもデータ収集・解析の進展に合わせて適宜応用し、統計動態モデルの記述精度を検証する。必要が生じれば汎用的な統計動態モデリング法に改良、関節統計動態モデルの構築を行う。関節統計動態モデルの大幅な拡張・改良が生じた場合には、人工膝関節に加え、一部の関節のみを対象としたモデリング法の開発およびモデル構築を行う。 開発した統計動態モデルに基づくプロトタイプシステムをベースに、他の関節を含めた関節自動3次元動態解析システムへの拡張および自動率を限界まで向上させるシステムの改良を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた主な原因は、人工膝関節以外の関節(主に膝関節)を対象とした適切な被検者や解析協力者が集まらなかったことによるものであり、平成24年度は広く募集をかけ、この額(人件費・謝金)を使用する予定である。また、翌年度以降に請求する研究費は、主にシステム開発に必要な物品費や成果発表の費用(旅費)として使用する予定である。
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