本年度は「場所依存コンテクストを用いた人物検出」および「場所依存コンテクストを用いた人物相互関係モデリング」について継続して検討を行った.その成果は以下の通りである. まず,「場所依存コンテクストを用いた人物検出」については,当初計画どおり,ランダム・フォレストを用いたアンサンブル学習を行い,決定木それぞれが「コンテクスト」を表して人物検出を行う手法を考案してその評価を行った.さらに,当初の計画にはなかったが,この手法のアプリケーションとして,オンラインでの物体追跡を行う手法の検討・評価を行った.オンライン物体追跡では,物体の見えの変化をどのように扱うかが問題になるが,ここでも様々な見えに対応する決定木を用意し,それらの組み合わせを動的に変更することで,頑健な追跡を実現している.これらの成果は今後随時学会発表していく予定である. 「人物相互関係モデリング」については,前年度の検討をもとに,人物関係を推定するモデルを設計しその学習方法を検討した.その手法では,指示動作などの人物同士のインタラクションに着目して,それが多く発生しているペアは何らかの関係があるとするものである. これら,当初予定していた検討に加えて,そこから派生した成果として,ランダム・フォレストのチュートリアル講演およびその出版がある.ランダム・フォレストはコンピュータビジョンで広く用いられるようになっているため,初学者の理解を助けるためのチュートリアルを情報処理学会CVIM研究会(2012年5月)で行った.さらに,その内容を書籍化して2013年中に出版する予定である.
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