研究課題/領域番号 |
23700212
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 光平 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (70325570)
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キーワード | テンソル / ベクトル / 次元削減 / 一括処理 |
研究概要 |
従来のテンソルデータ解析手法では,対象とするテンソルデータは全て同一の形状であることが前提とされており,階数や次元数が異なるテンソルの集合をそのまま処理することは困難である.本研究では,従来手法による扱いが困難な異形状テンソルデータを一括して処理するための枠組みを提案し,その枠組みの中で種々のテンソルデータ解析手法を開発することを目的として,平成23年度から平成26年度までの4年間にわたり,新手法の開発,検証等に取り組んでいる.以下に,本年度の研究実績の概要を述べる. 本年度は,2次元主成分分析(2DPCA)の非反復近似解法として,Xuらの手法とその代替手法によって得られる射影行列の組合せの中から,2DPCAの目的関数値が最大になるものを選択する方法を提案し,提案手法により,従来手法よりもよい目的関数値が得られることを実験で確認した.また,次元数の異なるベクトルデータの次元削減法として,異なる次元の同数のベクトルの外積を総和して得られる高階テンソルを高階特異値分解して得られる直交行列をかけることによって各次元の次元削減を行う方法を提案した.提案手法では,K平均法によって各次元のベクトルデータの個数を削減しながら揃える.各次元からランダムに同数のベクトルを選択する方法と比較して,提案手法の復元誤差が小さくなることを実験で確認した.また,次元数の異なるデータを追加することによって,復元誤差をより小さくする次元削減が行える可能性があることを実験で示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,従来手法による扱いが困難な異形状テンソルデータを一括して処理するための枠組みを提案し,その枠組みの中で種々のテンソルデータ解析手法を開発することを目的としている. 今年度は,最も基本的なベクトルデータについて,次元数の異なるデータを一括して扱う方法を開発し,また,行列データについては,2次元主成分分析の非反復近似解法において,従来手法と同程度以上の性能が保証された方法を提案し,いずれも良好な結果が得られていることから,本研究は,おおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度に開発した次元数の異なるベクトルデータの次元削減法を改良,拡張することで,異形状テンソルデータの一括処理を実現し,現実の各種データに応用していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,本研究に関する資料の印刷のためのプリンタトナー及びインク等の消耗品の購入と,研究成果発表や情報収集等のための旅費として,研究費を使用する計画である.
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