研究課題
本研究では,ヒトの能動的触覚センシング原理に関し,機械受容器と皮膚構造からなるセンサ系が動的条件下でいかに機能するのかを明らかにする.平成23,24年度の成果では,受容器と皮膚構造の動特性の非線形性により,弱い刺激に高感度で強い刺激に対して低感度であり広い刺激帯域を有すること,感度帯域は外圧により可変であることをモデルと実験により示した.また,閾値未満の外乱を筋紡錘へ与えることで姿勢制御能が向上するとの知見を得た.さらに,運動制御系の導出と人工筋を用いた工学的応用を進めた.25年度の実績は以下に要約される.1)触知覚と皮膚構造モデルについては,皮膚変形から伸縮による発火までのモデルを得る.その後, 知覚と指先動作との関係を調べ,触覚情報を考慮した運動制御系を得た.得られた制御系は,皮膚センサによる観測速度を指先の非線形な動特性を介して伝達するもので,作業座標系のP-SDサーボ系の構造を有する.ここでは,提案制御系の有効性と学習制御系と統合した運動生成機構について解析され,拡張を進めている.2)人工骨格筋の運動制御では,前年構築したヤコビ行列を用いた骨格筋制御系を拡張し,予測作用を考慮した制御モデルの解析を進めた.さらに,人体のパラメータ推定結果を用い,これらを知覚運動モデルへ統合することで前述の実験結果を検証した.本結果は,力触覚呈示装置の構築と機能評価へ応用され,柔軟な表層を有する呈示装置に関し,呈示作用の有用性を示し機能拡張を実現した.3)骨格筋系の運動制御機能については,繰り返しなぞり運動を例にセンサ系が能動/受動運動に際していかに機能するのかを調べた.このとき,触覚受容器系の非線形な動特性が運動制御系へ寄与し,高摩擦面等の指先負荷が大きく大変形を伴う場合でも,感覚情報は発散等せずに帰還され,繰り返し試行後には安定した運動軌道が得られることを示し,解析を進めている.
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Taylor & Francis Group Journals
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Proceedings of the the 4th Annual IEEE International Conference on CYBER Technology in Automation, Control, and Intelligent Systems (IEEE-CYBER 2014)