研究課題/領域番号 |
23700217
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
保坂 忠明 東京理科大学, 工学部, 助教 (60516235)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 任意視点画像合成 / スパースコーディング / 画素補完 / 多視点画像 |
研究概要 |
平成23年度は、研究実施計画にしたがい、スパースサンプリング(スパースコーディング)に基づく任意視点画像の欠損画素補完アルゴリズムを提案した。 多くの任意視点画像合成手法では、ステレオマッチング等で被写体の空間位置を推定した後に、三次元幾何計算によって仮想視点の各画素に投影される像を求める。しかし、マッチングベースの手法では、ある視点からは観測できるが別の視点からは観測できない被写体部分の空間位置を正しく推定することはできない。結果として、仮想視点の全ての画素値を求めることはできずに任意視点画像には欠損画素が生じることとなる。本研究では、この欠損画素を補完するために、情報理論の分野で注目され、様々な応用もされているスパースコーディングの考え方を利用した。スパースコーディングとは、画像をごく少数の基底によって精度よく表現することを指す。 提案手法では、欠損画素の周囲に存在する非欠損画素の情報を頼りにもっともらしい小画像を実カメラ画像内から探して欠損部に割り当てる。ここで、一つの小画像を割り当てると画素値の連続性が保たれにくいため、複数の小画像を加重平均する。その線形結合の係数をスパースコーディング により求める。これまでにもスパースコーディングを利用した画素補完の研究は知られているが、そこに被写体の距離情報や三次元幾何の要素を取り入れることで、任意視点画像合成にふさわしい方法を提案した。 実画像を用いて提案手法の評価実験を行い、従来手法と比較することでその有効性を確認することができた。また、研究成果について、2件の学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度では、予定していた研究実施計画の通りに本研究の基盤となるアルゴリズムを提案することができた。平成24年度(実施最終年度)は、提案方式の改良と拡張、および最適なパラメータの推定を行うことで、当初の研究目的を十分に達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度では、提案アルゴリズムの拡張を行う予定である。当初の研究計画では、拡張の一つとして動画像への提案手法の適用を挙げていた。しかし、提案手法の処理時間が比較的大きいため、動画像への拡張は現実的でないと判断し、これは行わないものとする。代わりに、スパースコーディングの一種として精力的に研究されているCompressed Sensing の応用例である単画素カメラを取り上げ、単画素カメラを利用した任意視点画像合成を扱う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、2回の対外発表を行ったものの当初の予定よりも旅費の使用額が少なかったため6万円ほどの残額が発生した。平成24年度は、最終年度であるため対外発表や誌上発表を数多く行う予定であり、この残額はそれらに関わる支出にあてる計画である。また、提案手法は、比較的計算量が大きいため、数値計算の効率を向上させるためにパソコンの購入を予定している。
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