研究課題/領域番号 |
23700219
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
高橋 友和 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (90397448)
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キーワード | 画像、文章、音声等認識 / 機械学習 / アルゴリズム |
研究概要 |
平成24年度は,顔の向きと解像度に対して前年度に検討した学習型特徴量変換による顔画像変換アルゴリズムの性能評価のための実験を行なった.具体的には,顔の向きに関しては,250人分の水平方向+50度から-50度までの10度間隔の顔画像を使用し,非正面顔画像から学習型特徴量変換による顔向き変換アルゴリズムによって変換された正面顔画像の認識精度を評価する実験を行った.実験の結果から,いすれの角度の非正面顔画像が入力された場合であっても,従来のアルゴリズムに対して,本研究課題で検討した顔向き変換アルゴリズムによる認識精度の方が優れていることがわかった.このことから今回検討したアルゴリムの有効性が確認できた. 解像度に関しては,本研究課題で検討した学習型特徴量変換による高解像度化アルゴリズムの性能評価のため,シミュレーション画像を用いた実験と実画像を用いた実験を行った.シミュレーション画像を用いた実験では,高解像度な顔画像から人工的に作成した低解像度な顔画像を入力として今回検討したアルゴリズムによって高解像度化された顔画像を評価した.評価の指標として画質と顔認識精度を用いた.実験の結果から,画質,顔認識精度の両方について,今回検討したアルゴリズムは従来のアルゴリズムよりも優れていることがわかった.また,実画像を用いた実験では,329人分の低解像度な顔画像に対して,今回検討した高解像度化アルゴリズムを適用した.実験の結果,顔認識精度の観点から,今回のアルゴリズムの有効性を確認できた.実画像を入力として用いる場合には,学習の段階で顔画像の劣化要因に関するパラメータ推定が必要である.これに関しては,様々なパラメータの値で学習した複数の変換モデルを使用するアプローチを用いた.実験の結果から,パラメータの値を適切に設定することが精度の向上に有効であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究で検討した顔向きと解像度に関する学習型特徴量変換による画像変換アルゴリズムの性能を調査する実験を行い,その結果から検討したアルゴリズムの有効性が確認できた.顔向きに関しては,成果をまとめた論文が採択済みであり,解像度に関しては,現在論文投稿の準備を進めているところである.また,実画像を用いた解像度に対する評価実験では,入力画像の劣化要因のパラメータ推定に関する有用な知見が得られた.これらのことから研究はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までの研究において,研究実施計画中の「目的1)高品質な照合用画像と低品質な入力画像の照合」に対する学習型特徴量変換モデルの有効性は示されたと考えられる.今後は,「目的2)低品質な照合用画像と低品質な入力画像の照合」を実現するための学習型特徴量変換モデルの検討を行う.この目的の実現には,照合用画像の劣化要因である顔向きや解像度などのパラメータを推定する必要がある.そのため,低品質な顔画像からこれらのパラメータを推定するためのアルゴリズムを開発する.これについては,変換モデル学習時の変換前の特徴量と変換後の特徴量の共起関係を利用することを検討している.
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次年度の研究費の使用計画 |
監視カメラなどから得られる実際の顔画像に対する学習型特徴量変換の有効性を調査する実験を行うためには,顔向きや解像度,照明条件などの様々な要因から低品質な顔画像とそれに対応する高品質な顔画像の組が大量に必要である.これを実際の撮影によって収集するため,高品質な顔画像を撮影するためのカメラと低品質な顔画像を撮影するためのカメラを購入することを検討している.また,実際の監視カメラ映像中の顔画像に対する学習型特徴量変換の有効性を調査するため,研究用に公開されている監視カメラ映像のデータセットを購入することを検討している.さらに,大規模な実験を行うための計算機の購入費用や,成果発表を目的として国内外で開催される各種学会に参加するための費用,論文の投稿費用,論文校閲のための費用などへの使用も検討している.
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