本研究は、監視カメラ映像中の向き、照明条件、解像度の点で低品質な顔画像を高精度に照合して人物を認識する手法を開発することを「研究の目的」としている。平成26年度は、特に「研究実施計画」に記載した「目的2)高品質な照合用顔画像が利用できない状況を想定し,監視カメラ映像中の低品質な顔画像どうしを照合して人物を認識する手法を開発する」の達成を目指して、昨年度に検討した低解像度な人物画像を高解像度化する手法と低解像度な人物画像から人物が所持している所持品の種類を認識する手法の2つの手法の性能評価と精度向上を行った。人物画像の高解像度化に関しては、顔画像と比較して人物画像は姿勢や服装の違いによるバリエーションが大きいという問題に対して、姿勢の問題に対してはパッチベースの手法を用いることで、服装の問題に対しては画像の高周波成分のみを変換に利用することで問題の解決を図り、単純な手法と比較して高い性能が得られることを実際の画像を用いた実験によって確認した。人物画像からの所持品認識に関しては、キャリーバッグやリュックサックなどの所持品の種類ごとに、人物に対するそれらの所持品相対的な位置や大きさの情報を知識として利用することによって、単純な手法と比較して高い性能が得られることを実際の画像を用いた実験によって確認した。また、複数方向からの画像が利用可能な場合には、さらに所持品認識の精度が向上することも確認した。
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