研究課題/領域番号 |
23700223
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
湯治 準一郎 熊本高等専門学校, 機械知能システム工学科, 准教授 (80332104)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人工皮膚 / 人工指 / ホール素子 |
研究概要 |
本研究では,磁気センサとして汎用的に用いられている微小なホール素子を柔らかい弾性材料(人工皮膚)の中に埋め込み,それを感圧感温受容器として機能させる新しい触覚センシング手法を提案する.そのために研究内容を(1)ホール素子を用いた感圧感温機能の検証と(2)複数のホール素子を弾性材料に埋め込んだ人工皮膚および人工指の製作に分けて取り組む. 平成23年度は,(1)を目的として進めた.ホール素子は,ホール効果を利用した磁界検出素子であり,モータ駆動,リニア位置検出用に広く用いられているデバイスである.現在はGaAs(ガリウムヒ素)ホール素子が主流であるが,高感度の用途ではInSb(インジウムアンチモン)ホール素子が用いられている.本研究では,まず,シリコーンゴムの中にGaAsとInSbの2種類のホール素子とそれらの間に永久磁石を配置した人工皮膚を作成し,どちらも定電流駆動で垂直方向の接触力特性と温度特性を調べた.InSbは接触力および温度に対して変化するが,GaAsは-10℃~50℃の範囲では,ほとんど温度依存性を示さなかったため,GaAsは感圧デバイス,InSbは感圧感温デバイスとして用いる.実験結果より,本研究で用いた2種類のホール素子を定電流駆動させることで,感圧感温機能を有する人工皮膚が構成できることが示された.次に,InSbホール素子を定電圧駆動させ,一定磁界中で温度特性を調べたところ,10mT以下では,ほとんど温度依存性を示さなかった.そこで,単一のInSbホール素子と永久磁石をシリコーンゴムの中に埋め込み,定電圧と定電流の2種類で駆動させ,同様の実験を行った.実験結果より,単一のInSbホール素子の駆動方法を変えて,2つの出力信号を取り出すことにより,感圧感温機能を有する人工皮膚が構成できることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホール素子を感圧感温機能デバイスとして人工皮膚のセンサ素子に応用できる可能性を示した.具体的には,(1)2種類のホール素子(GaAs,InSb)から単一駆動方法(定電流駆動)でホール電圧を取得する場合と(2)単一のホール素子(InSb)から2種類の駆動方法(定電圧,定電流)で2回ホール電圧を取得する場合の2つの構成が可能である.
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今後の研究の推進方策 |
駆動方法の自動切り替え機能,接触力と温度のリアルタイム検出機能等を実現し,一連の人工皮膚センシングシステムとしてのモジュール化を行う.その後,ホール素子の複数配置,ヒーターを内蔵した人工指を構成し,評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
主に,各種の機能実現に必要な電子部品やセンサ材料の購入に使用する.また.昨年度行っていない成果発表のための旅費に使用する.
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