研究課題/領域番号 |
23700227
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
姜 欣 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30451537)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 柔軟物ハンドリング / 組立自動化 / 知能ロボット |
研究概要 |
平成23年度において,線状柔軟物を取り扱う作業の作業計画に関する研究を行った.具体的に,ワイヤーのような柔軟物の作業におけるねじり、曲げ変形の変化を表現できるようにワイヤーの動力学モデルを作成した.このモデルでは,ワイヤーが質点とそれを繋ぐバネとして表現されている.また,ワイヤーのねじりを表現するために質点間に伸び方向のほかに,ねじり方向にもバネを配置している.そして,この動力学モデルをワイヤーの作業計画にも反映した.この研究では,作業計画用アルゴリズムとして,RRT(Rapidly-exploring Random Tree)が使用されている.そして,従来RRTにおける状態の定義にワイヤーの形状を決める各質点の状態を加える.取り付けによって,ワイヤーの一部が拘束された場合,それを表現する質点の状態を環境に固定する.ロボットに把持された部分は,ワイヤー全体の状態変化をもたらす部分であるためサンプリングされる.このほかの拘束のない部分(垂らす部分)の状態変化は,拘束された点の状態遷移とともに,ワイヤーの動力学モデルから算出される.こうしたことで,ワイヤーが実際の作業における様々の変化をRRTの枠組みに定義されるようになる.RRTの実行に伴い,サンプリングされた状態に対して,環境との接触があるか、ワイヤーが伸びきるか、アームの可能範囲を超えるかのチェックが常にされている.ワイヤーハーネスのインパネメンバーへの取り付け作業を例題に,上記アルゴリズムを適応した.この作業において,クランプをある方向から把持され,そして決められた穴の挿入する動作が含まれている.そのため,作業計画の目標に,クランプの向きを決めるワイヤーのねじり状態も重要である.上記のアルゴリズムで,全取りつけタスクを完成させる動作シーケンスが自動生成することに成功した.これで,アルゴリズムの有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通りに,複数アーム間の協調、曲げ・ねじり状態の表現を特徴とした柔軟物作業計画用アルゴリズムを開発したが,当初目標の一つであるトポロジーの変化はまだ作業計画アルゴリズムに反映されていない.震災でスタートが遅れたことと申請者の年度後半における二カ月間の海外出張が遅れの原因である.来年度から,一層加速したいと思っている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究を推進させるために,まずソフト開発の効率向上を目指す.今までに使用していたシミュレータは,作業計画用アルゴリズムのほか,CG表示部分まで自作していた.そのため,学術以外の部分のコーディングに大量の時間を費やした.この局面を打開するために,既存のツールキットあるいは商用のソフトの導入を検討する.また,平成24年度から機械制作の予定があるため,新たに学生研究協力者を新入生から応募する予定がある.それで研究を一層加速することを目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度の使用額」について,当初計画していたシミュレーション用PCは,実際PC業界全体の値下げ傾向を受け,計画より少ない金額で購入できた.また,平成24年度から,ワイヤー把持用グリッパーの改造が予定されているので,多くの材料、加工費が発生する見込みがある.研究に十分の費用を確保するために,残った経費を平成24年度請求額と合わせて使用する予定である.
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