研究課題/領域番号 |
23700227
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
姜 欣 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30451537)
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キーワード | 柔軟物ハンドリング / なぞり動作 / 取り付け自動化 |
研究概要 |
平成25年度において,前年度設計した線状柔軟物をなぞることのできるグリッパーを製作し,性能評価を行った.また,それに基づいてこの新型グリッパーを用いた線状柔軟物の自動取り付けの実現に向けて研究を展開した. グリッパーの製作については,実験による改良を重ねて計二通りの案を評価した.その改良版では,柔軟物の径の変化に対応でき,なぞる途中外れにくいことが確認できたことから,ほぼ設計当初の目的を実現されていると思われる.また,このグリッパーの特徴を活かした線状柔軟物の自動取り付けの実現に向け、以下の研究が展開された:1.柔軟物表面を安定になぞるための力制御,2.なぞるにおける軌跡及び表面凹凸情報による把持クランプの認識,3.分岐のある線状柔軟物のなぞり方,4.複数アームの持ち替えを伴うなぞり作業の作業計画方法.それぞれの項目に対して提案を行い,実験による検証を行った. 前述した課題に対して,柔軟物表面をなぞるための手先力制御,力センサ情報・なぞり軌跡による作業クランプのオンライン特定アルゴリズム,分岐を含めたなぞり先柔軟物形状予測方法,持ち替え動作計画方法を提案された.提案方法により,1.ある程度剛性を持つ柔軟物(ワイヤーハーネスの太い部分に相当)の表面にも安定ななぞり作業ができること,2.ビジョンなどのセンサなしに凹凸・軌跡情報だけで目標取り付けクランプが特定できること,3.平面状分岐を跨るなぞり動作,4.両アームによるなぞり操作などの4つ成果が実験によって確認できた。こちらの要素技術を組み合わせ,なぞり作業を用いた線状柔軟物の自動取り付けの可能性を示した簡単なデモができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた新型グリッパーの製作及び評価が予定とおりに実施した.また,それに基づいた新しい線状柔軟物の自動取り付けに関する要素技術の研究開発が順調に実施され,簡単なデモまでできるようになった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,現在既に実施したデモの結果を踏まえ,なぞり作業用グリッパーのさらなる改良を行った上,3本目のグリッパーを製作する.そして,3本アームにグリッパーを装着された状態でワイヤハーネスの実取り付けに近い状態でのデモを完成させる.また,理論上,なぞり作業のトポロジーレベルの線状柔軟物マニピュレーションへの応用の可能性を研究する. 実験結果よりグリッパー設計の見直しが発生したため,当初計画した3本化及び3本ロボットアームによる自動取り付けの研究が次年度に延期することになった.次年度使用額は,延期した3本化及びそれを用いた研究に必要な経費として使用する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に,計画通り新型グリッパーを製作し,3本アームにそれぞれを装着した状態で評価を行う予定であったが,実際設計の見直しが発生したため,現在製作・評価のために製作したのはプロトタイプI(1個)とプロトタイプII(2個)であった.これらの評価をした上,さらに改良したプロトタイプを完成版として予定通りに3本のアームに取り付け予定であるため,次年度使用額が生じた. このため,現在開発したグリッパーの改良と3本目の製作を次年度に行うこととし,使用する予定である.
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