移動ロボットに能動的な観測装置を搭載し、移動ロボットの位置および静的障害物・動的障害物の検知状況に応じ観測方向を変える事で、安全性と高速性を両立した自律移動を実現する事を目的とする。 24年度は23年度に実現した静的障害物への対応に加え、動的障害物検出を観測動作計画を行う。24年度の研究計画では(d) 動的障害物情報の検知状態と安全性の関連付け (e) 動的障害物情報の安全性を向上する注意領域の生成 (f) 各注意領域を観測する観測動作計画問題とその一般化、の3点が課題であった。 (d)(e)については、特に不可視領域内にある動的障害物への対処が課題であった。これに対し、観測対象として未観測領域に加え、観測の確からしさを示す情報を加えた。また動作計画の予測ステップにおいて、不可視領域内の未観測領域が不確かさが想定する動的障害物の移動速度に応じ伝搬するよう変化するよう拡張することで実現した。(f)については、23年度に実現した2次元平面上での視野を考慮した経路計画問題の解法を基として、観測対象、動作セットおよび評価関数を変更することで3次元スキャナの観測計画問題に拡張し、方法論自体の共通化が可能であることを確かめた。同時に、共通化に伴い高速化手法が適用できず計算時間が増大する課題が見出された。 本研究開発を通し、上下に揺動する3次元スキャナの観測動作計画問題に対し、空間中の未観測領域を注意点として観測対象とし、それらを掃引するアルゴリズムを実現し、移動ロボットが従来より高速かつ安全に走行可能であることを実機にて検証を行った。また視野に制限がある問題に対し、経路計画の際に移動により観測可能となる場所を予測することで、障害物を衝突前に検出可能な安全な経路を生成可能であることを示し、また実機にて検証を行った。これらは自律移動体の安全性の向上に有用であると考える。
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