研究課題
本研究では,複数人の対人コミュニケーションにおける対話中の非言語情報を計測・解析し,対話の状況(盛り上がり等)を自動的に推定する手法を検討する.そして,推定した状況に応じて,空間に自然に存在する机や椅子を自動的に動かして対話場に物理的に介入させることで,話者の空間行動(対人距離,向き,位置関係)を誘導し,対話の活性化を図るシステムを検討する.23年度は,複数人対話状況の推定モデルの検討と,自走式椅子・テーブルトップディスプレイの試作を行った.推定モデルに関しては,対話中の非言語情報をセンサにより取得し,対話中または対話後に行われたアンケート評価値との関連を詳細に調査した.具体的には,重回帰分析によりその両者の相関を解析し,非言語情報を用いて対話状況を数値的に推定するモデルを構築した.そして,過去に提案されているモデルとの差異や精度について検証した.その成果の一部は24年度に論文誌と掲載された.24年度は主に自走式テーブルトップディスプレイの試作・開発およびアプリケーションシナリオの検討を行った.自走式テーブルトップディスプレイは,コンピュータプログラムにより前進,後退,回転を無線にて制御されるものであり,二個実装した.それらを複数人対話のシーンへ導入し,提案システムを対話場に介入させた場合とそうでない場合をアンケートにより比較・評価した.特に会話場への侵入や,動的コンテンツの移動による表示,複数の会話場の結合などを実験的に評価し,提案システムによる情報提示の認知度,対話活性度,対人距離などの空間行動変化などについてデータを収集した.その結果,提案システムにより,なめらかに会話場を変化させることができ,有意に人の空間行動に作用することが明らかになった.
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the international journal of advanced Computer Science
巻: 0 ページ: 1-8
電子情報通信学会論文誌
巻: J96-D, No. 1 ページ: 120-132