本研究では,生活空間などの動的に変化しかつ未知である環境においてロボットが物体操作タスクを自律的に獲得できるようになることを目的とし,(1) 視覚画像処理とロボットハンドによる物体操作を併用した能動センシングに基づく未知物体の3次元形状計測法と,(2) それによって得られる3次元形状を利用した人間が操作する物体の3次元運動計測法を開発する. (1)については,昨年度までに開発したアームの運動のみを考慮した Structure from Motion (SFM) 法に基づく能動センシングによる形状計測法を拡張し,ハンドの把持位置や方向をも考慮した形状計測法を開発した.また,動力学シミュレータ上で提案手法を検証してその有効性を復元率の観点から確認するとともに,視覚と2組のハンド・ロボットアームを搭載した上半身型ロボットを設計・製作し,持ち替えを伴う能動センシングを実機検証するための準備を進めた. (2)については,複数のカメラを利用したステレオ視に基づく3次元形状計測と ICP に基づく3次元位置推定を同時に最適化する剛体の3次元運動計測法を開発した.従来法では,3次元形状計測の後に3次元位置推定を行うため,3次元形状計測における誤差がそのまま3次元位置推定に影響を及ぼすが,提案手法では両処理を同時に最適化することによって両誤差の低減を実現した.また,処理の一部をGPU上に並列実装することによって処理の高速化を実現した.
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