本研究は、時間の経過に伴う変化「エイジング」について、長期間にわたって魅力が持続するような建築や経年変化によって魅力が増すような建築を「エイジング建築」と定義し、人々がどのような部分に魅力を感じるのか、また、その魅力がどのようなメカニズムで生成されるのか、人間による感覚的評価と工学的処理による特徴抽出を併用し、その感覚量と物理量との関係性を明らかにするものである。初年度は、人間による感覚的評価に関して、対象を大学キャンパスとし、エイジング建築の事例調査を文献および現地にて行った。大学キャンパスは、公共性が高く、広大な敷地、多くの建築物から成るため、建築単体の造形や配色、配置と同時に、建築群としての景観を形成しており、大学全体をひとつの街としてとらえることもできる。また、近年では、老朽化した校舎の建替えや耐震改修などの問題を抱えているケースが少なくない、また、社会的ニーズとして、大学の地域開放なども求められており、ケーススタディとして取り上げた。最終年度は、初年度の研究で得た建築のエイジングと外観のもたらす印象に関する知見をもとに、具体の街並みを対象とし、VRによるシミュレーションとその印象評価を行った。これらの成果は、「VR を用いた水路復元に伴う街路景観の印象分析」と題して、2012年度日本建築学会大会学術講演会(名古屋大学)にて発表を行っている。
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