研究課題/領域番号 |
23700251
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
山本 英子 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (90450692)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自然言語処理 / 印象分析 / ネットワーク構築 / 感性デザイン |
研究概要 |
本研究では,人のモノに対する印象から深い感性を捉える方法論を確立し,その方法論による評価に基づく感性デザイン方法を提案することを目的としている.この目的のために,当該年度では,感性を捉える方法の確立を目指した.これまで,本研究では,人がモノに対する印象を表そうと発現した言葉「印象語」がそれぞれ印象を表しているのではなく,印象語間の関係によって構築される構造,つまり,「印象語の概念構造こそが「印象」である」と考え,印象語を基に,印象をネットワークで表現し,その構造を抽出する方法を提案している.その方法は,意味ネットワーク上で印象語間ごとの経路を辿り,それらの経路を集約し,印象ネットワークを構築するものである.意味ネットワーク上での単語間の経路探索方法は,一般的に,各単語の上位語を辿り,共通の上位語が現れる最短経路を見つける.本研究でも,この一般的な方法を用いて,印象ネットワークを構築していた.これは意味に基づく連想の考え方に基づき,決して間違いではない.しかしながら,印象ネットワークとして,上位語を辿って単語間の最短経路を見つけるより,より広い意味での連想,例えば,下位語も探索するといった方法で単語間の最短経路を見つけたほうが,より人間が抱く印象に近い印象ネットワークを構築することができるのではないかと考えた.そこで,当該年度は,この印象語間の経路探索方法の見直しと,見直した経路探索のアルゴリズムを考え,それを実現するプログラムの改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感性モデルを構築するために,これまでに考案した印象ネットワークの構築方法について見直し,より人間が抱く印象に近い印象ネットワークを構築しうる方法を考案した.そして,その方法の実現のために,アルゴリズムと実行プログラムを開発することにしたため,印象ネットワークの構造的特徴を細部まで分析するに至らなかった.しかしながら,印象ネットワークの構築方法を見直したことで,より人間が抱く印象に近い感性のモデルを構築できるのではないかと考える.
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今後の研究の推進方策 |
新しい印象ネットワークの構築方法を適用し,これまでの被験者実験の結果について,再度印象分析を行う.その上で,あらゆる角度からネットワークを分析し,印象ネットワークの構造的特徴を細部まで分析する.この分析結果を基に,感性のモデルを構築し,捉えた感性の特徴を基に感性をデザインする方法の構築を目指す.具体的には,構築した感性のモデルを用いて,模倣的なシミュレーションを行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に計算機の環境整備と次年度以降に行なう被験者実験のために予備実験を行なった.この二つのために当該年度の研究費の半分をあてた.その他に,情報収集のための出張と通信費として当該年度の研究費を使用した.次年度では,高価な物品を購入する計画を立てていないため,研究費の大半を情報収集のための出張と通信費に加え,研究成果の発表のために使用する計画である.また,プログラム開発のためにプログラマーに謝金を支払うことを計画している.
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