本研究では,人のモノに対する印象から深い感性を捉える方法論を確立し,その方法論による評価に基づく感性デザイン方法を提案することを目的としている. 当該年度は,モノをデザインする際にデザイナーが行う発想をコンピュータが支援できないかということを考え,人間が,提示される語からある語を連想する過程を,Web文書集合を知識の元としてコンピュータにシミュレートさせるようなシステムの構築を試みた.ここでいう「連想」は,個人が持つ記憶を提示されるものに基づいて関連づけ,その結果,ある考えを思いつくことに相当すると考えられる.実際,被験者に語を提示し,その語から連想する語を記述させるという実験を行うと,直接的に考えつくと思われる語のほかに,提示した語からいくつかの記憶や情景を経てたどり着いたと思われる語が含まれる.そこで本研究では,ある情報(提示する語)に関してさまざまな考え(単語)を関連付けていき,ある時点でたどり着いた考え(単語)を発言することが人間の連想であると捉えることとした.また,この連想の過程を連想過程と呼ぶこととした.この人間の連想とその連想過程の概念のもとで,Word2vecを用いて人間の連想をもとにした連想経路を作成し,作成した経路が人間の連想を模擬できるか検証した.この成果を国際会議に投稿した.
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