本研究は,感情が表出される2つの非言語チャンネル(顔、音声)に注目し,表出された感情の感情表出度と,表出強度が操作されたチャンネル情報から受けとる聴取者の感情認識度を定量的に評価するシステムの開発を行った。 本研究では特に児童期から思春期の「子ども」を中心的な研究対象とし、行動・脳機能・内分泌・遺伝子多型の4つの側面から、多角的に子ども(発達障害児を含む)の感情処理能力(感情スキル)を客観的に測定し、子どものコミュニケーション能力の定量的評価系の確立を目的とした。 その結果、1)感情識別課題では、思春期においては、女児は男児に比べて音声において、感情の認識率が高く、2)自閉症スペクトラム(ASD)群では、定型発達群に比較して、悲しみの表情による感情表出に対する認識率が異なること、3)脳活動では、定型発達群ではASD群に比較して、右前頭前野においてより高い活性化が確認された。 以上の結果は、感情発達には、性別と発達段階が複雑に絡み合っていることを示唆している。
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